音楽紀行(ライブレポ、アルバム感想・レビュー)

ライブに行ったレポートやアルバムの感想・レビュー。好きな音楽を見つけるツールにも

#OneLoveManchester

Music is a Universal Language

 5月下旬、マンチェスターにおける公演に際して起きたテロにより多くの観客が巻き込まれる事件が起きた。それを受けての慈善コンサートがつい先程まで行われていた。

 各SNSなどでも生中継されており、偶然見かけた僕はコンサート後半、ちょうどジャスティンビーバーが歌っていたあたりから視聴した。

 そこに広がる光景。会場いっぱいに集まった観客が、溜まりにたまったエネルギーを歓声に換えてこだまさせていた。こだまする歓声を反響させて、アーティストたちが音楽を届けていた。インターネットを介して届く凄まじい一体感には、テロの被害者を悼み、なにより音楽、そして人々の自由はテロに屈しないという強い意思が宿っていた。当事者足り得ない僕が、このように詩的な表現で綴るのはあまりに傲慢かもしれない。

 ドイツに留学している友人に聞けば、やはりヨーロッパ現地でのテロへの警戒は強く、シーズン真っ盛りにもかかわらず、やはり各音楽フェスの開催が危ぶまれたりもされているそうだ。そんな中で、自身も身をもってテロの恐怖を感じたに違いないアリアナ・グランデは、この見事なコンサートを成功させた。

 Coldplayが、あのOasisの「Don't Look back in anger」をアリアナグランデや、多くの観衆たちと大いに歌う。

 サプライズで登場したリアム・ギャラガーが、「Rock'n'roll Star」で高らかにマンチェスターへの愛を示す。

 アリアナ・グランデが、各出演者や観客と歌い締めた「One Last Time」と「Somewhere Over the Rainbow」でコンサートは結ばれた。

 

 僕自身ができることは何なのかまだわからないが、少なくとも音楽を世界の共通言語として、自由や平和、愛情を多くの人々と共有していきたい。

 では具体的には何をすべきなのだろうか。微力かつ当たり前のことかもしれないが、それでも小さいことから1つずつ確実に行動に移していくこと、自分だけでなく世の中の出来事や問題にも目を向けることがこれから社会を担っていく僕らの義務ではないか、と考えさせられる機会にもなった。アリアナグランデは23歳でこれだけのことをやってのけているのだ。

 

 コンサート中のコメンタリーで流れた忘れらない一節、「Music is a Universal Language.」で結びとさせていただきたい。自己満足のお見苦しい文章を失礼しました。

 

 このコンサートに興味あるかたは一部分だけでもぜひ。公式Facebookアカウントでは今現在全編公開中のようです。

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特集:コールドプレイ東京公演の凄さ

「4月19日、5万人が七色に染まる。」

 2017年、4月19日。僕はこの日を一生忘れない。なぜならば、5万人もの人々が、たった4人組のロックバンドによって、一夜にして七色に染め上げられるのを目の当たりにしたから。4人が生み出す音色と5万人の歌声が、会場中に鳴り響くのを耳にしたから。この日の「主役」はまさしく、その場に居合わせた全員であり、もちろん僕もその1人であった。

 

 東京ドームは、約5万人を収容する日本最大級のライブ会場である。この日ここでライブを行うのはColdplay。「スタジアムバンド」と称される彼らは世界中で成功を収める、21世紀を代表するバンドである。今回は最新アルバム「A Head Full of Dreams」を引っ提げてのワールドツアーで、既に1年以上に渡り25か国を回り、各国スタジアム級の会場でライブをおこなってきた。26か国目であるここ日本はアジアツアーの最終地であるが、この規模でコールドプレイのライブが行われるのは初めてである。言い換えれば、「スタジアムバンド」たる彼らの本当の姿を、日本にて初めて目にすることができるということだ。日本で誰も体験したことのないような、そんなライブになると確信し、僕はライブを待ち望んでいた。

 

 早めに到着し会場周辺を見渡せば、オープニングアクトを務めるRADWIMPSのおかげもあってか、自分と同世代くらいの若い人を多く見かけた。驚いたのは海外からやってきたという方もたくさんいたことだ。聞けば、中国や韓国、マレーシアなどアジア各国はもちろん、ロシアやフランスなどヨーロッパから、果ては地球の裏側ブラジルから家族総出で訪れたという方までいた。片言の英語が伝わるか不安であったが、「どこから来たの?」「どの曲が聴きたい?」などと互いにやり取りしたり、一緒に記念写真を撮ったりと、気づけば多くの人と意気投合していた。このライブでしか出会えなかったであろう色んな国の人々との交流は、音楽に国境なし、と教えてくれるようなとても素敵な体験だった。

開場時間となり、入場する。会場で隣になったのはご年配の女性。なんと1990年(僕の生まれる前だ!)に、同じ東京ドームで行われたデヴィットボウイのライブにも来ていたという。「あの頃に比べると、今は音響なんかも良くなりましたよ。」なんて教えていただきながら、このライブには実に多種多様な観客が集まっているのだと実感していた。

 

 時刻は19時をまわり、オープニングSEが流れ始めると、まだかまだかと客席の期待も膨らんでいく。会場が暗転すると一気に歓声に包まれる。これまでのワールドツアーの行程を振り返るような映像がスクリーンに映し出され、今回のアルバム1曲目でもある「A Head Full of Dreams」でライブが開演する。歌いだしと共に照明によってあらわになったコールドプレイ4人の姿に、5万人の大歓声が炸裂する。爆発的なまでの興奮を身に浴び、思わず号泣してしまったのはここだけの話である。

 

 息つく暇もなく、彼らの代表曲が続けざまに披露されていく。すごい、叫び過ぎてもう既にフラフラだ。開演からここまで、訳が分からないくらい歓声を上げ続け、両手を突き上げたのは初めてだ。

 スクリーンには演奏する彼らの姿や、ライブを楽しむ観客の姿が映し出される。会場はカラフルな照明により彩られ、しょっぱなから舞った七色の紙吹雪が会場を一層熱くする。

 観客一人一人に配られた、「Xylobands(ザイロバンド)」と呼ばれるリストバンド、これもライブの演出に一役買っている。ザイロバンドは2012年にコールドプレイ自身がライブで採用して話題となったもので、それぞれの楽曲に合わせて様々な色に発光・点滅する仕組みだ。これによって会場にすさまじいほどの一体感を生み出す。例えば、「Yellow」ではそのタイトル通り会場一面が黄色一色となり、「Every Teardrop Is a Waterfall」では曲の華やかなイメージに合わせ、様々な色に点滅し客席をカラフルに彩った。

 勢いそのままに、EDM調にリミックスされた「Paradise」が流される。曲に合わせて激しく点滅する照明やザイロバンド、また何本も伸びるレーザービームに導かれ、狭いディスコルームがそのままの密度で拡大されたかのようなダンスパーティ会場へと、ドームは一瞬で変貌を遂げる。すさまじい熱量を帯びながら踊り狂う僕ら5万人の姿はなかなかに壮観であったに違いない。

 

 最先端の技術を駆使した様々な演出やギミックの数々。しかし勘違いしてほしくないが、そういった演出頼りでないとこのライブの盛り上がりは成り立たないという意味ではない。ライブの根本にあるのはやはり、人々を魅了するコールドプレイの素敵な楽曲と、それを表現する彼ら4人の確かな演奏力なのだ。そもそも、数万人が集まるような巨大な会場にも関わらず、彼らはサポートメンバーもマニピュレーターも付けず、結成当時のまま4人だけで演奏してしまうのだ。バンドなど音楽を人前で披露した経験のある人ならば、この凄さが分かるはずだ。

 花道の先にあるサブステージに移ると、「Always in My Head」「Magic」を披露する。全編通じて内向的で深みに沈んでいくような雰囲気だった前作「Ghost Stories」からの2曲は、派手な曲調ではなく広い会場でやるには不向きだと思われるような楽曲だが、彼らはここでも僕ら観客を引き込んで見せた。派手な楽器パートでもって超絶技巧を見せつけるようなシーンはなくとも、彼らのどっしり構えたベーシックな演奏は、不思議と僕らの心を引き付ける。落ち着いた照明のもと、4人のタイトな演奏は、ここまでの熱気が落ち着くことなく、じりじりとドーム内で渦巻いているような雰囲気にさせた。その様子は、派手なだけがスタジアムでの演奏ではないのだと雄弁に語っていた。

続いてボーカルであるクリス・マーティンが、ピアノの弾き語りのみで東京ドームを制圧して見せた「Everglow」。観客誰もがその美しい光景に心を奪われたこのシーンは、このライブでのハイライトのひとつだった。「すごいエネルギーや思いを集めて、遠くシリアへ届けよう」というクリスの言葉に、僕らは歌声で応えた。

 

こうした演奏にも導かれ、歓声や歌声は一層勢いを増していく。

ピアノの刹那的なイントロから爆発的に繰り出される「Clocks」、クリスから「ジャンプ、ジャンプ!」と煽られ5万人が飛び跳ね、東京ドームを揺らした「Charlie Brown」など、これまでのキャリアを振り返るような選曲に彼らの楽曲のジャンルの広さを再確認する。

 新作より披露された「Hymn for the Weekend」は、ビヨンセとコラボしたR&B的な楽曲だが、火柱が上がるド派手な演出も相まって、予想以上にクリスとの掛け合いが盛り上がる楽曲になった。

「Fix You」の美しいメロディにも酔いしれながら、いよいよ僕ら観客の歓声やシンガロングは鳴りやまない。それは彼らコールドプレイが、僕らをライブへと引き込み、自分たちの演奏に巻き込み、しまいにはライブを作る「主役」の一員へと仕立てあげてしまうからだ。彼らがよく用いる、観客を含めての「Big Band」という表現こそ、まさにこのことを示しているのだと思う。

 誰もが待ち望んだあのストリングスのイントロを迎えた瞬間、いよいよ僕らはひとつの「Big Band」となった。割れんばかりの大歓声、そして「オオオーオオーオ!!」と響きわたる歌声。「みんな歌って!」と煽られ、僕も我を忘れ、ドでかいシンガロングの輪へと飛び込んだ。「Viva la Vida」は、やはり素晴らしい瞬間が約束された最高のアンセムだった。会場中に巻き起こったあのシンガロングを、僕は一生の宝物にしたい。

 

彼らは、ライブにおける演奏や演出面のみに止まらず、他にも様々な試みをしている。

 アリーナ後方に設置された小さなステージへと移動すると、ギター、ベース、キーボードのみの最小構成で「In My Place」を披露し、またもシンガロングを巻き起こす。この曲は事前にSNS上にて、15秒以内のリクエスト動画を募集し、それをもとに決めたものである。このように時流に合わせた試みも行われている。

 何より革新的だったのは、公式のハッシュタグを用意して、各SNS上にライブの写真や動画をアップすることを積極的に勧めたことだ。日本においては、ライブでの写真・動画の撮影は禁止されることがほとんどである。それを思うと驚きの試みである。でも、僕はこの試みを気に入っている。ライブ終了後にSNS上にはたくさんの写真や動画が載せられたが、それは自分が見たのとは異なるライブの映り方を示してくれる。例えばスタンド席の後方より見渡した、一面に輝くザイロバンドや照明の光に包まれる会場。例えばアリーナ席、花道を走り抜けるクリスと、それに応じるようにこれでもかと歓声を上げる観客の盛り上がる姿。5万人いれば5万通り、それぞれの角度から異なる感情を持ってライブを楽しんでいたはずである。それをこうやって互いに共有できるのは素敵だし贅沢な楽しみである。

最小構成のまま3曲披露し、「日本のために、特別にこの曲を世界で初めて披露するよ!」と言いながらメインステージへと戻るも、サブステージにマイクを置き忘れてしまうクリス。演奏がやり直しになり、「これはここだけの秘密!忘れて!ネットに上げないで!!」と懇願する彼の姿に思わずほっこりする。この様子も、この後無事に披露された新曲とともにネットを通じ世界中に広まると考えるとまたほほえましい。

 

The Chainsmokersとのコラボで話題になった最新曲「Something Just Like This」や、前作より必殺のアンセムとなった「A Sky Full of Stars」で、ダメ押しとばかりに会場を沸かせ、観客を踊らせると、最新アルバムでもラストを飾る「Up & Up」でライブを締める。印象的なMVをスクリーンに映しつつ届けられたこの曲は、キャリアを通じたテーマである「希望」を歌った大切な曲。4人が奏でるピアノ、ギター、ベース、ドラム、そして歌声が優しく響くのを聴きながら、「もう終わってしまうのか。」とどうしても感じてしまう。ライブが良いものであればあるほどに、ライブが終わってしまう寂しさも大きい。演奏を終えると、会場の万雷の拍手に対し、「またすぐ来るよ!」と言って何度も深々とお辞儀をしてくれた彼ら。

 

2017年4月19日、「スタジアムバンド」たる彼らの姿を見せつけられた僕ら。彼らの音楽はカラフルで、生き生きと七色に輝き、僕らへと降り注いだ。彼らは最高の演奏・演出をもって、国籍も年齢もバラバラな僕ら5万人を、自分たちのカラーで染めて、ライブの「主役」にしてみせた。

一夜限りの特別な時間が過ぎ、また僕らは日々を送る。コールドプレイもまた先へと進み、変化していく。(それは先の新曲からも感じさせられた。)

果たして次の来日公演では、彼らはどんなライブを見せてくれるのだろうか。そして、「スタジアムバンド」を一度体験してしまった、そんな僕らは彼らに対し、どのように応えることができるのか。時期尚早だが、今からもう楽しみで仕方ない。

 

もちろんそのときもまた、僕は「主役」の一人になろう。歌って叫んで、飛び跳ねる。その準備はもうできている。

 

 

花澤香菜 live 2017 "Opportunity" @オリックス劇場

UKサウンドにのせて

 声優としても活躍する花澤香菜さんの4thアルバム「Opportunity」を引っ提げた全国ツアー。その大阪公演に参加してきました。会場であるオリックス劇場は、本町駅から徒歩10分程のところにあり、すぐそばには公園もありました。

 

Topic 1 初めての空間

 これまでロックバンドなどのライブばかり行ってましたので、今回のようなある意味アイドル的人気も非常に高いアーティストのライブは初めて。観客席を様々な色のペンライトが染めてるのは、先日参加した某コールドプレイのライブともまた違って壮観でした。ライブにはあまり慣れてないような方も多そうでしたが、みんなで盛り上がっていこうという雰囲気がいい感じですね!

Topic 2 効果的な舞台演出

 席はかなり前のほうで、めっちゃ近いやん!と思っていると開演。楽曲を演奏するのは北川勝利さん率いるディスティネーションズ!!ギター×2、ベース、ドラム、キーボード、サックス、トランペットと盤石の7人体制で素敵な音楽を奏でます。

 そして、!舞台中央に設置された階段と扉には、イギリスの風景などをプロジェクションマッピング映し出されると、いよいよお待ちかね、われらが花澤香菜さんの登場!真っ白なドレスがとてもきれい!!うわーアニメで聴いてたあの声優さんがこんなに近くに!と僕も興奮。会場も興奮。

 

Point 1 UKサウンドが響く

 「スウィンギング・ガール」そして、イギリスの偉大なロックバンSimply Redのミック・ハックネルが作曲したという「FRIENDS FOREVER」と、今作のテーマであるUKサウンドを意識した楽曲でスタート。サックスやトランペットの音色がこれまた素晴らしいです。

 順番は左右するが、「カレイドスコープ」や「滞空時間」、「星結ぶとき」など、花澤さんの素敵な歌声を後押しするようにバンドの卓越した演奏が光る。

 

Point 2 ライブで進化する楽曲

 秦基博の作曲した「ざらざら」は、楽曲イメージに沿った夕暮れイメージの映像と共に届けられ、このライブでの感動のハイライトとなった。ライブにおいても花澤香菜さんの唯一無二の「声」という武器は抜群に発揮されてますし、こういった王道のバラードは素敵に響きますね。

 「Marmalade Jam」の後には、花澤さんの衣装替えの間に、ディスティネーションズによるソロコーナーと、これでもかと観客に声を張り上げさせたコールアンドレスポンスだ。びっくりするぐらいの一体感でみんな汗だく声は枯れながらボルテージが増していく。

 各楽曲はところどころアレンジされており、また音源とは違った魅力を見せていました。本編ラストの「Blue Water」は、クラムボンのミト作曲による、EDMテイストも入ったこれまたすんげえ曲なんですが、力強いドラムの勢いなどに乗せられて、「これEDM系のライブだったっけ?」と思うくらい会場中が揺れていました。

 

 アンコールでは、レア曲の交えつつアーティストデビュー曲である「星空☆ディスティネーション」もしっかりやって、会場をもうひと盛り上がりさせたまま終了。ダブルアンコールでの「恋する惑星」も飛び出した、ほんとにお腹いっぱいです。また良いアルバムをひっさげてツアーに来てほしいな、と素直に思える素敵な2時間半でした。ありがとうございます。 

 

 あと余談ですが、「雲に歌えば」の振り付け、すごく可愛かったしMCでの言い間違いも可愛かったです、こればっかりは会場にいた人しか分かりませんでしたが。以上テンション高めでお届けしました・

 

セットリスト

1.スウィンギング・ガール

2.FRIENDS FOREVER

3.滞空時間

4.カレイドスコープ

5.透明な女の子

6.Opportunity

7.ざらざら

8.あたらしいうた

9.星結ぶとき

10.Marmalade Jam

11.brilliant

12.雲に歌えば

13.FLOWER MARKET

14.Seasons always change

15.Blue Water

アンコール

16.Young Oh! Oh!

17.CALL ME EVERYDAY

18.星空☆ディスティネーション

Wアンコール

19.恋する惑星

Opportunity(初回生産限定盤) (Blu-ray Disc付)

Coldplay A Head Full Of Dreams Tour @東京ドーム (2017.04.19)

「スタジアム・バンド」

 こう称される彼らColdplayも、日本においてこの規模でライブを行うのは初めて。

ここ数年でドーム公演をおこなったのは、思い出す限りレディーガガやテイラースウィフトといった女性シンガーやバンドでもポールマッカートニーが自身のバンドを率いてやったときなど。高齢化が進む音楽界では、ある意味まだ「若手」のほうに分類されるコールドプレイ、彼らのドーム公演は嬉しかった半面、日本でも成功するのか不安でもあった。

 そんなクソくらえな不安視を一掃した、彼らの公演についてレポを書きます。

少しでも人生最高の瞬間を共有できるように。

Topic 1 スクリーン映像、照明、特殊効果、世界基準の仕掛け

 オープニングアクトであるRADWIMPSの好演のおかげもあって,、程よく暖まった会場。

 照明が落ち、マリア・カラスの言わずと知れた「O Mio Babbino caro」がライブ開始の合図を告げるSEとして流れ出すと、会場もいよいよかと盛り上がり始める。

 そして、スクリーンには世界地図にこれまでツアーでまわったコースやその国々のファンたちの姿が映し出され、そしてコースを表した赤いラインがアジアツアーの「終点地」である日本、東京に辿り着くという心憎い演出を経て、オープニング曲「A Head Full Of Dreams」でスタート、バンドの登場と同時にいっきに会場もボルテージマックスに。ドーム中に反響する歓声と何度も聴きこんだ楽曲に、思わずしょっぱなから大号泣してしまった(笑)

 次いで早くも「Yelow」を繰り出し大合唱。観客ひとりひとりには「ザイロ・バンド」と呼ばれるリストバンドが配られ、楽曲に合わせていろいろな色で発光するのだが、これがめちゃくちゃ良くて、この曲ではドームの客席全体が黄色に輝いていた。

 「Every Teardrop Is A Waterfall」では、日本の国旗が映る素敵なシーンも。

「The Scientist」の落ち着いた曲なのに、会場のテンションも相まって熱量の高い曲のように響く感じも素敵でした。

 照明と相まってハイな気分にさせたのが「Paradise」で、アウトロでは一気にTiesto Remixバージョンに移行。派手なレーザー光線と激しいEDM調の旋律に会場はダンスフロアと化す。

Topic 2 キャリアを振り返るような曲構成

 ここまででひと盛り上がりすると、花道の先にあるBステージへ移動。第2部として今回のアルバムと対をなす「Ghost Stories」より「Always In My Head」「Magic」と披露。決して大盛り上がりするような曲調ではないが、さっきのテンションそのままに、じっくり聞き入る、でも熱量がすごい、みたいな異様な雰囲気であった。そしてクリス・マーティンによるピアノ弾き語りでの「Everglow」はこのライブのハイライトのひとつになったと思う。ピアノひとつ、あとはクリスの歌声と観客の合唱、それだけでこれだけの興奮が生みだせるんだっていうこと。MCで「日本より愛を集めて今のシリアへ送ろう」と今の時世に絡めて語ったように、愛情だったり純粋に音楽を楽しむという感情が溢れていた。

 ここから、2ndアルバムのスーパーキラーチューン「Clocks」でのあのピアノのイントロに対する爆発的歓声、5thアルバムのキラキラした感じを体現した「Charie Brown」では観客全員が飛び跳ねる(僕はその弾みでスマホが吹き飛んでいきました(笑))シーンなど、行きつく暇がない曲構成が。

Point 1 この日最高の4連発!!

 そして、実は一番一体感のある合唱だったんじゃないかという「Hymn For The Weekend」そして、あのギターリフで約束された号泣ソング「Fix You」を経て、「オオオーオオーオ」と誰しもが叫んだ「Viva La Vida」は世界で一番熱い瞬間を体感した、この日一番のハイライトだ。あの全然合唱しないと揶揄される日本で、しかも東京ドームで無限の歓声が響き渡るあの瞬間は、掛け値なしにコンサート会場としての「東京ドーム」の歴史に残る瞬間だと確信できる。

 更に今回のアルバム1番のダンサブルなアンセム「Adventure Of A Life」では、このツアーでお決まりとなった、ラスサビ前でクリスに促され観客全員が座り込み、一気にジャンプする演出、テンションはもう爆上がりである。

Point 2 スペシャルな瞬間を

 アリーナ後方に設置されたCステージにうつると、ギター、ベース、キーボードと最小構成で2ndアルバムから「In My Place」を披露。後押しするようにシンガロングが広がります。

 メンバー紹介を経てバンド初期から存在した楽曲「Don't Panic」をまさかのドラム担のウィルとギターのジョニーが歌うという!!そして、「Til Kingdom Come」ではベースのガイのブルーハープにのせてゆったりと。

 メンバーがメインステージに戻ると、クリスはCステージでこの日限りの即興ソングを作り、「I Love Tokyo」と観客に歌わせたままメインステージへと進む。

 するとここで、初めて披露する曲だとして、6月リリースのEPにも収録される新曲「All I Can Think About Is You」が世界初披露!のはずが、手違いによりメインステージのピアノのところにマイクがなく、イントロからやり直す珍しい事態に(笑)この日唯一会場がほっこりと笑いに包まれた瞬間でした。「YouTubeに上げないで!ここだけの秘密にして!」と懇願しつつ、わざわざ花道からやり直すお茶目なクリス。

 新曲は2nd頃のミニマムな雰囲気を持ちつつ、また新機軸となるような楽曲。特に各楽器のパートがクールで全面に出ていて、早く音源でも聴きたいといった感じ。

 一番聞きたかった「Something Just Like This」や「A Sky Full Of Stars」でダメ押しとばかりにもうひと騒ぎすると、1stアルバムと同様のテーマを扱った、アルバムの核ともなる「Up&Up」でフィナーレに。

 「またすぐに帰ってくるよ」と言いながら、日本の国旗と「Love」と書かれたファンの旗を並べ、それにキスをするクリス。そして肩を組みお辞儀をするメンバー4人に、会場より万雷の拍手で締めました。

 本当に、最高の瞬間でした。これまで、D'angeloやRadiohead、最近ではJames Blakeといった好演が印象に残るたびに「人生に残るライブだ」と、馬鹿の一つ覚えみたいに連呼してきましたが、今回のライブは、言うならばこれまでの人生で一番楽しくて多幸感にあふれた瞬間でした。今これを書いてる瞬間にもいまだ余韻を引きずっている。MCから、この東京ドームでの公演をライブアルバムだか映像作品として収録しているらしいので、至急発売してほしい!一刻も早くまたあの感覚を思い出したい!!なんて思いつつファンの撮影した動画をチェックする日々をしばらくは過ごします、ではでは。

 A Head Full Of Dreams Tour (04.19.Tokyo) Setlist

  1. (Opening SE) O mio babbino caro
  2. A Head Full Of Dreams
  3. Yellow
  4. Every Teardrop Is A Waterfall
  5. The Scientist
  6. Birds
  7. Paradise(outro:Tiesto Remix ver)
  8. Always In My Head
  9. Magic
  10. Everglow (Single Ver)
  11. Clocks
  12. Midnight
  13. Charie Blown
  14. Hymn For The Weekend
  15. Fix You
  16. Viva La Vida
  17. Adventure Of A Life
  18. (SE) Kaleidoscope
  19. In My Place
  20. Don't Panic
  21. Til Lingdom Come
  22.  City Of Tokyo (improvised song:「I Love Tokyo♪」)
  23. All I Can Think About Is You
  24. Something Just Like This
  25. A Sky Full Of Stars
  26. Up&Up

ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ(ジャパニーズ・ツアー・エディション)<初回生産限定盤>

RADWIMPS オープニングアクト@東京ドーム

「えっ?オープニングアクト豪華すぎちゃう?」

 Coldplayの東京ドーム公演に興奮していた私には、まさに二度目の衝撃だった。

オープニングアクトとして、これまでライブを観れなかったRADWIMPSまで見られるなんて至れり尽くせりじゃないですか…!?

 Topic 1 初めてのドーム級会場でのアクト

 ラッドウィンプス、まさに僕たち世代なら中高時代に確実に通ってきたおなじみのバンドである。「もしも」「最大公約数」「有心論」から「おしゃかしゃま」まで、カラオケに行けば自分も含めてどいつもこいつも歌っていた。

 しかし、世間的には昨年の「君の名は」の大ヒットと共に第2のブレイクを果たした印象。さてどんなアクトを見せてくれるのかワクワクしていた

Point 1 プライドを見せた「攻め」

 個人的には「君の名は」のタイアップ曲の印象ばかりが広がるのは不満であったし、4曲全部やるとかはやめてほしいなとか思っていたのだが、まさかの「前前前世」をやらないという攻めっぷり。内心「もっと他にも良い曲あることを見せつけてやれ」なんて思っていたので爽快でした(笑)

 オープニングから挨拶替わりに2曲披露した後、観客との「コールアンドレスポンス」を経て必殺の「君と羊と青」、一番聴きたかったんですよ~!!大盛り上がりでしたね僕は。

 「棒人間」「スパークル」とピアノにのせてしっとりと歌い上げると、名刺代わりの「おしゃかしゃま」を。途中ではお約束のギターとベースのソロ対決。長尺でお互いの技巧を存分に披露すると会場も沸きます!ボーカルの洋次郎はベースの武田の頭を揺さぶりながら「もっと見せつけてやれ!」とばかりに煽っていたのは笑えましたwあと前の席の、おそらくラッドを知らない海外からの客が、楽器隊のソロに興奮した様子で聞き入っていた姿が印象的で、なんだか日本語と認められたみたいに嬉しかったです。

 締めは「DADA」、もちろん緊張もあっただろうし、しょっぱなからぶっ飛ばした結果、喉も枯々となりながら歌いきる姿からも、やっぱり失敗や批判を恐れず「攻めた」という感想を抱きました。オープニングアクトとして、素晴らしい演奏をしてくれました!!

Opening Act for Coldplay Tour 2017 at Tokyo Dome (04.19) setlist

  1. Lights Go Out
  2. 夢灯篭
  3. 君と羊と青
  4. 棒人間
  5. スパークル
  6. おしゃかしゃま
  7. DADA

人間開花(初回限定盤)(DVD付)

サイハテアイニ/洗脳(初回限定盤)