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音楽紀行(アルバムレビュー)

邦楽、洋楽問わず聴いたアルバムのレビューを。あと、いい音楽を見つけるツールにも。

才能の結実

 「Sea and The DarknessGalileo Galilei  総評★☆(4.5)

 先日まさかの「終了」宣言をし、ファンのみならず多くの人々を驚かせた Galileo Galilei。彼らの集大成として世に出されたラストアルバム「Sea and The Darkness」を紹介したい。

 

Topic 1  かつては数ある「王道」若手ロックバンドの旗頭だった

 彼らは2008年に閃光ライオットでグランプリを取ると、「ハマナスの花」や「夏空」など、さわやかなPOPソングを量産、メジャーデビュー以来一気に知名度は伸び、人気若手バンドの仲間入りを果たした。

 

Topic 2  本当の彼らの姿が見え隠れし始めた「青い栞」以降。

 彼らは予想以上の人気っぷりから肩身の狭さを感じた彼らは、拠点を地元札幌に移す。それ以降も、タイアップの影響もあって「青い栞」、「明日へ」といったヒットを連発する。同時に、徐々に彼らの本当にしたい音楽が現れるようになった。目指したのは、エレクトロ・サウンドの導入と、洋楽的ニュアンスとの融合だった。

 特に、洋楽的要素をどう取り入れるかは、多くのアーティストにとっての課題である。古くは、英語に聴こえるように歌った桑田佳祐(サザンオールスターズ)や、洋楽などの影響をもとに最大限大衆的に演出した桜井和寿(Mr.Children)、更には椎名林檎なども皆この課題に対面していた。近年においても、星野源などブラックミュージックを上手く消化し、日本語へ昇華させるのがトレンドになっている。

 

Point 1  音作りから空気感まで、見事な「洋楽的ニュアンス」の実現

 アルバム全編の渡って、音の響き方というか全体の空気感までが計算ずくで作られているように感じる。表現が難しいが、生の音というかいい意味でハンドメイドな感じなのだ。精密だが暖かい。「カンフーボーイ」から、外国の匂い漂うインディロック全開だ。「王道的」ニュアンスの強い楽曲ももちろん魅力だ。「恋の寿命」「嵐のあとで」などがそうであるが、リミックスなどによって流れに上手くのせて、浮かないように注意されている。

Point 2 コンセプトアルバムとしての統一感

 彼らの歌詞も、日本語のみで上手くメロディにのっている。余談だが、個人的に洋楽的ニュアンスを取り入れるために、安直に全般英語詞で歌ってしまうバンドは、日本語をメロディに落とし込む努力をしていないという点で好きではない(といいながらONE OK ROCKやら曲によっては聴いてしまうのだが笑)

 そして今作はタイトルやジャケットからも事前に予測した通り、全体の流れにコンセプトがあり統一感がある。テーマはシンプルに、自身の感情の結露だろうか。それも、苦悩や激しい感情である。

 最後の3曲は、今年暫定No.1の見事な流れである。「そうだこのアルバムはクソだ」など強い言葉が吐かれる「ブルース」、軽快な曲調ながら歌詞に死の匂いが漂っているような「青い血」、そしてサックスのメロディが印象的な、彼らのもつ意識に思わず沈み込んでしまうような名曲「Sea and The DarknessⅡ(Totally Black)」。もうまさに逆転サヨナラの3連続バックスクリーン弾だ(表現古いか笑

 

 最後の最後でとんでもないアルバムを出してしまったGalileo Galilei。是非ともラストライブに参加して、そこで本当の意味で完成される作品を目に、耳にしたい。

 

(※追記)Point 3 「Sea and The Darkness」と「深海」

 ライブでのアルバム完全再現などを通じて連想したのは、Mr.Childrenのアルバム「深海」だった。彼らも、形こそ違うがヒットソングを連続で出し、想像以上の人気に苦しんだ結果、死の香りのするコンセプトアルバム「深海」を出す。そしてライブではアルバム再現を行い、活動を一時休止した。日本古来からの「無常観」とやらは、やはり芸術には不可欠なんでしょうか。

 何となく両者の姿が重なったが、今後はどうなるのやら…とただ思っただけでした笑

  • 1. Sea and The Darkness  ★☆   

     

  • 2. カンフーボーイ / Kung Fu Boy ★☆ 
  • 3. ゴースト / Ghost      

     

  • 4. ウェンズデイ / Wednesday  ★★★

     

  • 5. ベッド / Love Song     

     

  • 6. 鳥と鳥 / Bird Cage     ★★

     

  • 7. 燃える森と氷河 / Different Kinds   ★★★☆

     

  • 8. 日曜 / Her Surprise     

     

  • 9. 恋の寿命 / Limit of Love(re-mix, re-master ver) 

     

  • 10. 嵐のあとで / Aftermath  ★☆

     

  • 11. ユニーク / Unique     

     

  • 12. ブルース / Blues     ★★

     

  • 13. 青い血 / Blue Blood    ★☆

     

  • 14. Sea and The Darkness II (Totally Black)        ★★★★☆

     

  • 15. クライマー(re-master ver) [Bonus Track]   ★★★★

     

  • 16. ボニーとクライド(re-mix, re-master ver) [Bonus Track]  ★★★☆     

 

 

Sea and The Darkness(初回生産限定盤)(DVD付)

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