音楽紀行(アルバムレビュー)

邦楽、洋楽問わず聴いたアルバムのレビューを。あと、いい音楽を見つけるツールにも。

着飾らない、至高の33分間

「Everything At Once」Travis ★☆(3.5/5.0)

 このGWはレッチリレディオヘッドなどキャリア20年越え組の相次ぐ新作リリース情報で、ロックファンにはとても熱い数日だったと思います。というわけで、今回は結成20周年の、UKロックが誇るバンド、Travisの新作「Everything At Once」を紹介します。

Topic 1 究極の楽曲至上主義

 ファンの方々にはお恥ずかしい限りだが、Travisをまともに聴いたのは今作が初めてだ。というのもCDショップへ行った際に、その場で試聴し即購入したのだ。(あんまりない体験だった。)

 彼らがどんなバンドか調べたが、こりゃ大変だ。20年のキャリアを誇りながら、彼らはとても謙虚だ。彼らを象徴するようなVo.フランの名言「残るのはバンドでなく楽曲だけでいい。」は今後200年はロック史に残してほしい。つまるところ彼らが重点を置くのはただ一点、いかにいい曲を聴かせるかである。

Topic 2 ほとんどの曲が3分程のシンプルさ

 今作では、意識的に彼らは比較的短い楽曲を多く制作している。3分を切る曲が約半数、4分を超えるのはラスト一曲のみであることから顕著にそれが分かるはずだ。インタビューでは、書きたい曲を表すのに4分以上の時間は不要で、贅沢だとまで言っていたと思う。10曲で35分足らずのおさまりの良さは、アルバム通して聴きやすい。

 

Point 1 肩の力が抜けたグッドメロディ

 そう、先で述べたように今回は店頭での試聴で購入を決めたのだが、僕のハートを掴んだのが一曲目の「What Will Come 」だった。ボーカルのメロディが優しくて、心地良い。肩ひじ張らずに聴ける。日常生活で疲れた体には効果的なアプローチである。すごいところが、ギターが後ろで鳴っているのだが、地味にリフは複雑である点だ。楽器はあくまでメロディを主役におくべく工夫をしているのだが、やっていることはレベルが高く難しいことであるのが凄い。この点が、楽曲の聴きやすさに繋がっているのだ。まさに、「これから何が来るの?」状態にされたのだ。

Point 2 キメを外さないところ

 ポップに振り切った(MVのダンスも思わず笑える)「Magnificent Time」や、ロックモード全開の「Radio Song」など多士済々の楽曲が続くが、ここは必殺の美メロバラード「3 Miles High」を推したい。いやもうイントロのシンセだけで飯が三杯食える。こんな優しいメロディ、ささくれた僕の心をすべて洗い流して浄化してくれるようだ。曲はシンプルにアコギのストローク中心に進行されるのだが、アクセントとしてポイントごとにシンセとコーラスが差し込まれる。対照的に、フランの繊細な歌声が目立つ。

 

 彼らはSNS隆盛の現代社会に触発された面が多かったとインタビューに答えていたが、「Everything At Once」=何事も同時に起こってしまうような、慌ただしい現代の生活の中で、せめてこのアルバムを聴いている30分足らずを、何事からも解放された心の安らぎとして大切にしてほしいです。ファンのみならずフジロック参戦予定の方、要チェックです。

  1. What Will Come 
  2. Magnificent Time 
  3. Radio Song 
  4. Paralysed ★★
  5. Animals ★☆
  6. Everything At Once ★★★
  7. 3 Miles High ★☆
  8. All of The Places 
  9. Idlewild ★☆
  10. Strangers On A Train 

     

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