音楽紀行(アルバムレビュー)

邦楽、洋楽問わず聴いたアルバムのレビューを。あと、いい音楽を見つけるツールにも。

生身の感情を

Mr.Children 「I ♥ U」 ★☆

 さて、今日は20年以上の歴史の中で誰もが一度は考えた、永遠のテーマを取り上げたい。Mr.Children、「I ♥ U」

Topic 1 さて最高傑作はどれか 

 日本で今一番売れてるバンドといえば、Mr.Childrenだと思っている。日本にも多くの魅力的なアーティストがいるが、その中で彼らも第一線で長い間素晴らしい曲を提供し続けている。だが、そのキャリアのなかで出してきたアルバムたち、魅力的な作品が並ぶが故に、「じゃあ一番いいアルバムどれやねん」問題が浮上するのである。

300万売った出世作「Atomic Heart」か、邦楽ロック界に名を刻む問題作「深海」か、さてはて異色の「Q」?いや「シフクノオト」?会心の「Reflection」?

 ミスチル好きな私も、頻繁にミスチルファンの友人と協議を行うが結論は決まらない。(何なら毎回私自身の意見もコロコロ変わる笑)

Topic 2 一番身になじむ

 しかしながら、最も自分にとって大事なアルバムがどれかと聞かれれば、僕は毎回断言する、「I ♥ U」であると。一番自分の身になじむからだ。なぜだろうと考えるが、おそらくこのアルバムがミスチルのアルバムの中で、一番感情がむき出しになった作品だからだ。むき出しの感情は美しく、熱く見えるし、一方で醜いし、近寄りがたく感じることもあるだろう。アルバムジャケットはハートをつぶれたトマトで表現されているのだが、その点を表現してるのではなかろうか。

Point 1 初球先頭打者ホームラン

 しょっぱなの「Worlds end」CDをオーディオに挿入して開始を待った、あの瞬間。イントロの数秒、あのドラムとストリングスで脳天を強烈にバックスクリーンまで運ばれるあの感覚は最初の一回しか感じられない。一曲目からこんな半端ない曲が来るなんて想像できないからだ。記憶をもし一度消せるならこのアルバムのことを忘れてもう一度あの衝撃を感じたい。それ程の凄い曲。

Point 2 愛のむき出し

 このアルバムを貫くテーマはもう「愛」以外にありえない。いろんな形の「愛」、きれいな愛、惨めな愛、嬉しい愛、悲しい愛。アルバム全編包み隠さず愛を描くとか、並大抵のアーティストなら不可能だ。気持ち悪いものになる。あるいはちんけな表現に終始する。ミスチルだから出来たし、ミスチルだからギリギリ許された。

 重苦しいベース音が狂った愛情を見せる「Monster」から、甘酸っぱく将来を見つめる「未来」と続くあたり、アルバムのごっちゃ混ぜ感も否めない。おそらく承知のうえだろうが。

 恋愛の苦しみと音楽を作る過程を重ねたような「僕らの音」から、大切な存在への愛情を確かめるような名曲「Sign」までの並び、僕の生涯の恋愛を表すにはこれらの曲だけで済みそうだ。

 「and I love you」、アコギで淡々と進む一番から、(U2を彷彿とする笑)ディレイの効いた2番のギターがお気に入りだ。前後するが、ランニングハイは一転金管楽器などがグイグイ曲を引っ張っていくご機嫌な曲かと思わせて「息絶えるまで駆けていこう」なんていう超絶暑苦しい曲(タイトルからしてそうだが)

 そして、「CANDY」何度、「これ自分のこと歌ってる」現象が起きだろうか。全国100万人の失恋を引きずる少年少女たちは、これだけ聴け。

 

 終盤も「跳べ」や「隔たり」など、とにかく濃い楽曲が並ぶ。アルバムとして確かに重い。

 それでも、これでもかと並んだ愛に、自分を重ねている私のようなまだまだ青臭い若者にとっては、これからもずっと大事なアルバムだと言い切れる。読み返してみて、レビュー自体もアルバム同様重くて読みづらいというオチ。

  1. Worlds end 
  2. Monster   
  3. 未来    
  4. 僕らの音  
  5. 靴ひも   
  6. and I love you ★☆
  7. CANDY    ★☆
  8. ランニングハイ 
  9. Sign      ★☆
  10. Door      
  11. 跳べ      
  12. 隔たり    ★☆
  13. 潜水      

     

    I LOVE U

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