音楽紀行(アルバムレビュー)

邦楽、洋楽問わず聴いたアルバムのレビューを。あと、いい音楽を見つけるツールにも。

これからのライブは変わる

 サカナクション「SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around@大阪城ホール

 サカナクションのデビュー10周年アニバーサリーツアーのファイナル、大阪城ホール公演に行って来ました。いやーほんとに素晴らしいの一言です。

 

Topic 1 サカナクションの特異性

 私個人は2016年のサマソニで見た以来で、単独公演は初めてでしたので、めちゃくちゃ期待していました。

 彼らの音楽は今の邦楽シーンでは変わった存在だと思います。ボーカルの山口さんがライブ中のMCで述べていた言葉を借りると、自分たちがやりたい音楽をいかに表現するかという「マイノリティ」の面といかに多くの人たちに聴いてもらえるような売れる音楽として伝えるかという「マジョリティ」の部分のバランスを冷静に考えているアーティストです。

 

Topic 2 革新的な音響システム

 今回のアリーナ公演では6.1ch サウンドアラウンドと呼ばれる音響システムが採用されています。

 アリーナのような会場は広く、迫力ある演出ができる一方、座席の位置によって肝心な演奏の聞こえ方が変わってしまったり、会場の広さ故に音がこもって聞こえたり反響してしまうという難点があります。そこを解消すべくステージ横にある通常のオーディオに加え、会場中央や後方の天井部分に巨大なオーディオを、客席付近にも大量にスピーカーを設置していました。これによって信じられないような音響を観客に体感させようとする取り組みでした(大量のスピーカー故に多くのPAが調整していらっしゃり、赤字のようです笑)

 

Point 1 音と照明のアトラクション

 こうした音響システムは、観客の度肝を抜きました。

 開演した最初の1音で会場中にどよめきが起きたライブは初めてでした。それくらいとんでもないもので、多くのスピーカーによって音の発生源も自由に変えられてしまいます。音が上下前後左右へと、自由自在に移動してしまったり文字通り「走り抜けて行く」ような体感があり、これまでに体感したことのないもの。

 さらに照明や映像も曲に合わせて様々嗜好が凝っており、音と一体となってとんでもない演出となっていました。

隣の観客の方が、「音と照明のアトラクションみたいだ!」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 

Point 2 繊細かつ力強い音

 1番驚いたのは、とにかく演奏がめちゃくちゃいい音で聴けたことです。

  音圧は立派な映画館のようにダイレクトにズンズン響くし、重低音はそれ専用のスピーカーがあるらしく身体の芯に響いてくる感覚でした。

 さらに音圧が高いと場合によっては音が割れて聞こえたりすることも多いのですが、細かな1音まで綺麗に聞こえました。スネアドラムや電子音、ギターやベースのフレーズまでそれぞれしっかり分離して聞こえ、まるですぐそばで演奏されてるかのようで驚きました…とんでもない!(ヘタなホール公演より断然音響が良かったという程!)

 

Point 3 サカナクションの技量

 でもこれらの圧倒的な演出を実現させるのはやはりサカナクションの技量の高さ、そしてなにより曲の魅力でした。 

 「新宝島」で爆発的なスタートを切ると、「アルクアラウンド」など代表曲の連続で観客はめちゃくちゃ踊りまくっていたし、(夜の踊り子では11人の山口一郎がステージに笑)個人的には「壁」や「グッドバイ」にグッと来ました。

 ライブ中盤の「ボイル」から「三日月サンセット」の流れはライブにおけるターニングポイントと言える圧巻のパフォーマンスでしたしら「SORATO」「ミュージック」はソニマニで見たJUSTICEばりのキレキレのエレクトロサウンドで圧倒されました。

 ラストでは「目が明く藍色」で、「ああ、サカナクションすごいな…」て大団円。素敵すぎた贅沢な2時間弱でした!

 

 アンコールのMCでは山口さんが、(リリース事情などぶっちゃけたり、ビクターをディスったりめちゃくちゃ言いながら)これまでのシングルを収録したアルバムと、今のサカナクションの音楽を「まっさらな状態」で収録したアルバムの2枚組でリリースしたいとおっしゃっており、来年春ごろのリリースやライブが期待されます!

 アンコールで披露された新曲も、ノリノリのベースラインや女声コーラス、サビでのシャウトっぽいような歌い方も印象的な(山口さん曰くもっと良くなるよう作り替えるらしい)楽曲で音源化が楽しみです!

 

 6.1chサウンドアラウンドは、一度体験したらもう戻れないようなとんでもないもので、これまでのライブの歴史を塗り替えてしまうような音響システムだと掛け値なしに言えます。いつかこのシステムが標準となる時代がきたら素晴らしいし、それが日本から始まるとしたら面白い、夢のある話だと思います!(フェスで導入されたり、6.1ch専用ホールができたり…)

 とにかく素晴らしいライブでした、見れて良かった!

 

セットリスト

  1. 新宝島
  2. M
  3. アルクアラウンド
  4. 夜の踊り子
  5. Aoi
  6. シーラカンスと僕
  7. ユリイカ
  8. ボイル
  9. 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
  10. 夜の東側
  11. 三日月サンセット
  12. SORATO
  13. ミュージック
  14. アイデンティティ
  15. 多分、風。
  16. グッドバイ
  17. サンプル
  18. Team Sakanaction Sample "6.1ch Sound Around Session"
  19. 新曲
  20. 目が明く藍色