音楽紀行(アルバムレビュー)

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ドラクエ風ターン制バトル「獣ゆく細道」

 

椎名林檎宮本浩次(エレファントカシマシ)によるコラボ曲「獣ゆく細道」がもう、天才同士の殴り合い。

個性ビンビンの歌声を持つ両者が、互いの技量をこれでもかと見せつける。それでいて、見事なバランスで曲として破綻しない。ギリギリの綱渡り感、その危うさが堪らない。どうなってんの?

 

 1番のメイン旋律は宮本が歌う。いやいや、椎名林檎作詞作曲で、文学的な歌詞をバリバリ癖のあるメロディに載せてるのに、一音目からまるで自分の曲だったかのように歌いこなしてますやん…化け物かよ。

行く先はこと切れる場所 大自然としていざ行かう

ソース・Source: https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/sheena-ringo-hiroji-miyamoto/kemono-yuku-hosomichi/

サビ部分、ここで「行こぉぉぉうぅ」って歌い方とか宮本浩次宮本浩次たる部分たっぷりで、「ここの歌詞自分で書いたの?」ってなった。

 

間髪入れず2番のメイン旋律は椎名林檎が担当。今度はこちらの番とばかりに面目躍如。最初の「そっと」の発声だけで、ぶわっと彼女の世界観へと引き込まれてしまう。こちらもとんでもねえ。普段耳馴染みのない文学的なフレーズが、こうもすんなり楽曲として聴けるのはひとえに、彼女のボーカリストとしての力量。

 

そして白眉だったCメロ。

本物(モノホン)か贋物(テンプラ)かなんて無意味(ナンセンス) 能書きはまう結構です

幸か不幸かさへも勝敗さへも当人だけに意味が有る

ソース・Source: https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/sheena-ringo-hiroji-miyamoto/kemono-yuku-hosomichi/

「モノホン」「テンプラ」「ナンセンス」といった飛び道具的に挿入された横文字を、ここまで甘美に歌うのか椎名林檎…。と思えば、「もう結構です」と(椎名林檎の楽曲には度々ある)フレーズ中のアクセントとして入れられたであろう敬体口調を、宮本が本家顔負けのさらりとした調子で違和感なく歌い上げる。バチバチですわ、化け物同士のワルツ。

 

 

たった3分44秒の曲だが、これもうターン制バトル。代わる代わる2人が、ボーカリストとしての魅力を余すところなく見せつけてくる。ここまで濃厚なひとときを楽しめるなんて反則でしょ。

 

繰り返し聴いてたら2人のハモりが気持ちよすぎて、「もう好きにしてくれ」と白旗あげました。

獣ゆく細道