音楽紀行(ライブレポ、アルバム感想・レビュー)

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Coldplay A Head Full Of Dreams Tour @東京ドーム (2017.04.19)

「スタジアム・バンド」

 こう称される彼らColdplayも、日本においてこの規模でライブを行うのは初めて。

ここ数年でドーム公演をおこなったのは、思い出す限りレディーガガやテイラースウィフトといった女性シンガーやバンドでもポールマッカートニーが自身のバンドを率いてやったときなど。高齢化が進む音楽界では、ある意味まだ「若手」のほうに分類されるコールドプレイ、彼らのドーム公演は嬉しかった半面、日本でも成功するのか不安でもあった。

 そんなクソくらえな不安視を一掃した、彼らの公演についてレポを書きます。

少しでも人生最高の瞬間を共有できるように。

Topic 1 スクリーン映像、照明、特殊効果、世界基準の仕掛け

 オープニングアクトであるRADWIMPSの好演のおかげもあって,、程よく暖まった会場。

 照明が落ち、マリア・カラスの言わずと知れた「O Mio Babbino caro」がライブ開始の合図を告げるSEとして流れ出すと、会場もいよいよかと盛り上がり始める。

 そして、スクリーンには世界地図にこれまでツアーでまわったコースやその国々のファンたちの姿が映し出され、そしてコースを表した赤いラインがアジアツアーの「終点地」である日本、東京に辿り着くという心憎い演出を経て、オープニング曲「A Head Full Of Dreams」でスタート、バンドの登場と同時にいっきに会場もボルテージマックスに。ドーム中に反響する歓声と何度も聴きこんだ楽曲に、思わずしょっぱなから大号泣してしまった(笑)

 次いで早くも「Yelow」を繰り出し大合唱。観客ひとりひとりには「ザイロ・バンド」と呼ばれるリストバンドが配られ、楽曲に合わせていろいろな色で発光するのだが、これがめちゃくちゃ良くて、この曲ではドームの客席全体が黄色に輝いていた。

 「Every Teardrop Is A Waterfall」では、日本の国旗が映る素敵なシーンも。

「The Scientist」の落ち着いた曲なのに、会場のテンションも相まって熱量の高い曲のように響く感じも素敵でした。

 照明と相まってハイな気分にさせたのが「Paradise」で、アウトロでは一気にTiesto Remixバージョンに移行。派手なレーザー光線と激しいEDM調の旋律に会場はダンスフロアと化す。

Topic 2 キャリアを振り返るような曲構成

 ここまででひと盛り上がりすると、花道の先にあるBステージへ移動。第2部として今回のアルバムと対をなす「Ghost Stories」より「Always In My Head」「Magic」と披露。決して大盛り上がりするような曲調ではないが、さっきのテンションそのままに、じっくり聞き入る、でも熱量がすごい、みたいな異様な雰囲気であった。そしてクリス・マーティンによるピアノ弾き語りでの「Everglow」はこのライブのハイライトのひとつになったと思う。ピアノひとつ、あとはクリスの歌声と観客の合唱、それだけでこれだけの興奮が生みだせるんだっていうこと。MCで「日本より愛を集めて今のシリアへ送ろう」と今の時世に絡めて語ったように、愛情だったり純粋に音楽を楽しむという感情が溢れていた。

 ここから、2ndアルバムのスーパーキラーチューン「Clocks」でのあのピアノのイントロに対する爆発的歓声、5thアルバムのキラキラした感じを体現した「Charie Brown」では観客全員が飛び跳ねる(僕はその弾みでスマホが吹き飛んでいきました(笑))シーンなど、行きつく暇がない曲構成が。

Point 1 この日最高の4連発!!

 そして、実は一番一体感のある合唱だったんじゃないかという「Hymn For The Weekend」そして、あのギターリフで約束された号泣ソング「Fix You」を経て、「オオオーオオーオ」と誰しもが叫んだ「Viva La Vida」は世界で一番熱い瞬間を体感した、この日一番のハイライトだ。あの全然合唱しないと揶揄される日本で、しかも東京ドームで無限の歓声が響き渡るあの瞬間は、掛け値なしにコンサート会場としての「東京ドーム」の歴史に残る瞬間だと確信できる。

 更に今回のアルバム1番のダンサブルなアンセム「Adventure Of A Life」では、このツアーでお決まりとなった、ラスサビ前でクリスに促され観客全員が座り込み、一気にジャンプする演出、テンションはもう爆上がりである。

Point 2 スペシャルな瞬間を

 アリーナ後方に設置されたCステージにうつると、ギター、ベース、キーボードと最小構成で2ndアルバムから「In My Place」を披露。後押しするようにシンガロングが広がります。

 メンバー紹介を経てバンド初期から存在した楽曲「Don't Panic」をまさかのドラム担のウィルとギターのジョニーが歌うという!!そして、「Til Kingdom Come」ではベースのガイのブルーハープにのせてゆったりと。

 メンバーがメインステージに戻ると、クリスはCステージでこの日限りの即興ソングを作り、「I Love Tokyo」と観客に歌わせたままメインステージへと進む。

 するとここで、初めて披露する曲だとして、6月リリースのEPにも収録される新曲「All I Can Think About Is You」が世界初披露!のはずが、手違いによりメインステージのピアノのところにマイクがなく、イントロからやり直す珍しい事態に(笑)この日唯一会場がほっこりと笑いに包まれた瞬間でした。「YouTubeに上げないで!ここだけの秘密にして!」と懇願しつつ、わざわざ花道からやり直すお茶目なクリス。

 新曲は2nd頃のミニマムな雰囲気を持ちつつ、また新機軸となるような楽曲。特に各楽器のパートがクールで全面に出ていて、早く音源でも聴きたいといった感じ。

 一番聞きたかった「Something Just Like This」や「A Sky Full Of Stars」でダメ押しとばかりにもうひと騒ぎすると、1stアルバムと同様のテーマを扱った、アルバムの核ともなる「Up&Up」でフィナーレに。

 「またすぐに帰ってくるよ」と言いながら、日本の国旗と「Love」と書かれたファンの旗を並べ、それにキスをするクリス。そして肩を組みお辞儀をするメンバー4人に、会場より万雷の拍手で締めました。

 本当に、最高の瞬間でした。これまで、D'angeloやRadiohead、最近ではJames Blakeといった好演が印象に残るたびに「人生に残るライブだ」と、馬鹿の一つ覚えみたいに連呼してきましたが、今回のライブは、言うならばこれまでの人生で一番楽しくて多幸感にあふれた瞬間でした。今これを書いてる瞬間にもいまだ余韻を引きずっている。MCから、この東京ドームでの公演をライブアルバムだか映像作品として収録しているらしいので、至急発売してほしい!一刻も早くまたあの感覚を思い出したい!!なんて思いつつファンの撮影した動画をチェックする日々をしばらくは過ごします、ではでは。

 A Head Full Of Dreams Tour (04.19.Tokyo) Setlist

  1. (Opening SE) O mio babbino caro
  2. A Head Full Of Dreams
  3. Yellow
  4. Every Teardrop Is A Waterfall
  5. The Scientist
  6. Birds
  7. Paradise(outro:Tiesto Remix ver)
  8. Always In My Head
  9. Magic
  10. Everglow (Single Ver)
  11. Clocks
  12. Midnight
  13. Charie Blown
  14. Hymn For The Weekend
  15. Fix You
  16. Viva La Vida
  17. Adventure Of A Life
  18. (SE) Kaleidoscope
  19. In My Place
  20. Don't Panic
  21. Til Lingdom Come
  22.  City Of Tokyo (improvised song:「I Love Tokyo♪」)
  23. All I Can Think About Is You
  24. Something Just Like This
  25. A Sky Full Of Stars
  26. Up&Up

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