音楽紀行(ライブレポ、アルバム感想・レビュー)

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一騎当千

Ed Sheeran Live In Japan 2018@大阪城ホール(2018.04.11) 

 ここまで日本中が待ち望んだ公演があっただろうか、満を持して迎えた来日ツアー初日、期待をあっさり超えていく迫真のライブをレポートしたい。

Topic 1 世界的成功を果たしたエド

  2014年に2ndアルバム「×」を発表したエドシーランは、グラミー賞各賞にノミネートされ、「Thinking Out Loud」で最優秀楽曲賞を受賞し一気に世界的スターへと上り詰めた。しかし勢いはとどまるところを知らず、2017年に3rdアルバム「÷」をリリース。シングルとしてリリースされた多くの楽曲が、世界中はもちろんここ日本においても人気を博した。

Topic 2 ツアー延期からの…

 そして勢いそのままに決まった来日ツアーは本来昨年10月末から始まる予定だったが、なんとエドシーラン本人の骨折により延期に。しかも、改められた日程はなんとBruno Marsの来日とぴったり被るという!今世界を席巻する2大ポップスターが両雄そろって日本にいるというのは、世界中見ても無いレアな状態でした。

Point 1 一人でもスタジアム級

 時間ぴったりに始まったライブは、「Castle on the Hill」「The A Team」など人気曲を披露する。会場は大いに盛り上がる中、「Bloodstream」は彼がいかにスタジアム級のアーティストなのか体感するのにぴったりな一曲だった。ループペダルを駆使し、キーボードとギター一本、そして自身の歌声のみでアンサンブルを不足なく成立させる。素敵な照明や映像を用いながら一人で会場中を魅了する。

 大きな会場を1人でライブする、これは恐ろしいものだ。初めバンドメンバーなしでライブをすると聞いたときは、「素敵な楽曲群を一人で再現できるのか、広い会場だと物足りないのではないか。」と感じたが、まさに杞憂であった。

Point 2 歌心

 「I See Fire」や「Perfect」、「Tenerife Sea」など素敵なバラードは、じっくりと演奏を聴く日本の観客に合わせてか、普段より丁寧に歌われより一層その歌心が染み出ていた。つくづくエドシーランのメロディセンスの良さを強く感じられる。

 「Thinking Out Loud」はまさに白眉。星空やカップルのイラストが映り、うっとりするような素敵な映像とともに優しいエドの歌声が会場中に響き渡っていた。このライブ一番の美しい瞬間だったに違いない。

Point 3 圧巻のループペダル使い

 本編ラストの「Sing」では、おなじみのフレーズを観客に合唱させたままステージを一度降り、再び「阪神ユニフォーム」を来て登場する演出で会場はひとつに。

 そこから、満を持して観客すべてが一番待っていたであろう「Shape of You」でこの日一番の盛り上がりを見せた。

 圧巻だったのはラストの「You Need Me, I Don't Need You」であった。ループペダルを使いこなす彼の真骨頂がこれでもかと発揮されたこの曲でのパフォーマンスはもう圧倒的。ループペダルにより次々に重ねられるギターのフレーズ、畳み掛けるような攻撃的なラップ(彼のあこがれるエミネムの影響も大きいのだろうか)。刺激的な照明、何度も繰り返されるエド自身による熱い煽りも相まって、最後の最後でとんでもない大興奮をもたらされた。

 

 なぜエドシーランは世界を席巻するのか、なぜ多くの人々を魅了するのか。その神髄が堪能できた素敵なライブだった。「また来年来るよ!」というMCは(来日アーティストおなじみのコメントだが)期待したい。20周年であるサマーソニックか、もしくはフジロックか。また来日も含め彼の大躍進に期待したい。

 

(Setlist)

  1. Castle on the Hill
  2. Eraser
  3. The A Team
  4. Don't / New Man
  5. Dive
  6. Bloodstream
  7. Happier
  8. I'm a Mess
  9. Tenerife Sea
  10. Hearts Don't Break Around Here
  11. Galway Girl
  12. Feeling Good / I See Fire
  13. Photograph
  14. Perfect
  15. Nancy Mulligan
  16. Thinking Out Loud
  17. Sing
  18. Shape of You
  19. You Need Me, I Don't Need You

 

÷(ディバイド)

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