音楽紀行(ライブレポ、アルバムレビュー)

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この街に立つ

Homecomings × 京都新聞
2018寒梅館コンサート「Our Town, Our News」

 先日ニューアルバムを出したばかりのHomecomingsによる、京都にある同志社大学キャンパス内「寒梅館」でのホールコンサート。くるり岸田繁さんをゲストに迎えたこのコンサートはとても素晴らしく、バンドにとってのターニングポイントの1つになったといって差し支えないはず。

Topic 1 バンドによる「大きな一歩」

 詳しくは別記事で触れるが、Homecomingsによりリリースされた最新アルバム「WHALE LIVING」はバンドにとって大きな変化をもたらす作品だ。これまで全曲英詞だったが、今作ではインスト曲2曲と「Songbirds」を除くすべての曲が「日本語」で歌われている。またピアノやストリングスをしっかり導入した曲もあり、まさに「大きな一歩」となったアルバムなのだ。

 

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 今回は、バンドにストリングス奏者4人が加わるスペシャルな構成で一部演奏され、今作で彼女らが「どんな音楽を作り出したかったのか」を確かめることのできるコンサートになった。

Topic 2 ホールが似合う音楽

 スペシャルゲストとして「大好きなHomecomingsの晴れ舞台を飾れて嬉しい。」と言って前座に登場したのはくるり岸田さん。アコギ弾き語りで歌心溢れる演奏を聴かせてくれた。今年リリースのグッドチューン「ソングライン」や、会場の大学生スタッフとの開演前のやりとりを紹介したのち「彼に弾くと約束したから。」といって披露された「東京」など、「これだけで元取れるんじゃ…。」というパフォーマンス。曲間での気が抜けるようなMCも相まって、観客の笑顔が会場中に広がっていました。そんなちょうどよく温まった会場には、いよいよ今日の主役が。

 Homecomingsの音楽はとてもホールが似合う。それは彼女らの音楽が聴き手にとってとても身近なものに感じられるからだ。ささいな日常を通じて、ひとりひとりが持ち得る「寂しさ」を丁寧に描き、優しく背中をさすってくれる。そんな彼女らの音楽にスタジアムは広すぎるし、ライブハウスは熱がこもりすぎる。ホールでゆったり座席に座り、思い思いに耳を傾けてこそ、もっとも深くじんわりと響くのではないか。

Point 1 日本語であること

 ステージに登場したHomecomings、京都新聞とのタイアップでバンドが初めて日本語詞で発表した「アワー・タウン」でスタートすると、「WHALE LIVING」内でも中核を成す「Hull Down」「Smoke」「Blue Hour」を次々に披露する。こうやって実際耳 にすると歌詞がすごく耳に入ってきやすい。バンドの原点ともいえるギターポップにのせてボーカル畳野さんの歌声がゆらりと耳に届く。日本語詞が英詞と異なるところの1つは、歌詞の意味合いが聴き手に直接的に伝わるところであるが、彼女は日本語であることを意識し、歌い方に調整しているようだ。そして各メンバーによるコーラスもまた良い。観客が身体を左右に揺らし楽しそうに聴いていた姿が印象的だった。

Point 2 アレンジが広がった結果

 そしていよいよストリングス隊が加わったところで、まず披露されたのはストリングスをアレンジに取り入れ始める「出発点」ともいうべき曲「PLAY YARD SYMPHONY」

続いて今回のアルバムの方向性を決めた曲「Songbirds」が、アルバム音源とは異なるこの日限りのストリングスアレンジで披露された。ストリングスが上乗せされることで、優しい彼女らの音楽が本質を変えぬまま、ほんの少しその外延を広げたように感じた。これはすごい、これからのバンドの無限の可能性を感じさせる演奏に心のわくわくが止めらなかった。

 本編ラストに披露された「Whale Living」は、この日一番のハイライト。畳野さんがピアノを、リードギター福富さんがアコギを担当し演奏されたこの楽曲は、とてつもなく暖かかくて、優しかった。楽器の音色に歌声がそっと乗せられ、コーラスとストリングスが全体を包み込んで、一体となる演奏。初めてこの曲がいかに優しく暖かく響くのか、その楽曲の真髄を堪能できた。

 

 アンコールでは既に酒を飲み、できあがった状態で再び登場した岸田さんと、畳野さんによる「男の子と女の子」で再びあったかい気分になったまま終わったコンサート。

 

 メンバーはインタビューで「京都を背負うバンドになるつもりはない。」と言っていたが、それでもHomecomingsの音楽が生まれたほかでもないここ京都で、素敵な演奏を聴けて僕は幸せ者だなと感じた。僕自身この街が出身地でないにしても、今住む街=「アワータウン」であり、この街に過ごして生み出された音楽を、その街で聴けることってなかなかないのだから。

 

 ここまで記事を読んでいただいた方、少しでも興味が湧いたならばぜひHomecomingsのライブを見に行ってほしい。素敵な時間が過ごせると保証します。

 

 そして、またいつかストリングス隊を加えたライブを聴いてみたい。きっとまたその暖かさに、楽曲から感じた寂しさとほんの小さな幸せを抱き締めたくなるんだろうな。

 

セットリスト

(OA)岸田繁(From くるり

  1. 鹿児島おはら節
  2. キャメル
  3. 琥珀色の街、上海蟹の朝
  4. The Veranda
  5. Ring! Ring! Ring!
  6. ソングライン
  7. ブレーメン
  8. 東京

Homecomings

  1. アワー・タウン
  2. Don't Worry Boy
  3. Hull Down
  4. Smoke
  5. Blue Hour
  6. PLAY YARD SYMPHONY
  7. Songbirds
  8. Whale Living

(アンコール)岸田繁×畳野彩加

  1. 男の子と女の子

 

WHALE LIVING

WHALE LIVING