音楽紀行(ライブレポ、アルバム感想・レビュー)

ライブに行ったレポートやアルバムの感想・レビュー。好きな音楽を見つけるツールにも

音楽への前向きな決意表明 

Galileo Galilei "Sea and The Darkness" Last Tour 2016@Music Club JANUS

 会場には開場30分前くらいに到着。心斎橋駅からゆっくり歩いて向かいました。グッズを買った後入場列へ。キャパ400人ほどのライブハウスで、整理番号は300後半台でした。5階にロッカーが80近くあり、そのすぐそばが会場入口でした。会場内はおしゃれな雰囲気で、男女お手洗いも中に完備してありました。それでは本編へ。

 

Topic 1 アルバム完全再現ライブ

 事前の告知に沿ってアルバムはしっかり聴きこんできたのですが、まさかの全曲完全再現ライブでした!!バンドは5人体制。

 一曲目のSea and The Darkness はフェードイン、フェードアウトがなくしっかりとした一曲として演奏してくれました。何気にすごくかっこよかった。

 そこからアルバム曲順通りに。Vo.雄貴の調子は凄くよさそう。「鳥と鳥」あたりから開場も含めノリノリになりました。「恋の寿命」は半音下げで、また違った雰囲気で、「嵐のあとで」はかなり好きな曲だったのでもう感無量でした。

 アルバムレビューでも絶賛していたラスト3曲「ブルース」「青い血」、そして

「Sea and The DarknessⅡ」は迫真のアクトでした。Vo.雄貴は感情を込めて、吐き出すかのように激しく、時には叫びながら歌っていて、会場全体はそれを聴きこむというか立ち尽くすというか、盛り上がっているけど放心状態?言葉では言い表せないえらい状態になってたと思います。そして個人的に圧巻だったのがDr.和樹のパフォーマンス。鋭い音とリズムで曲の雰囲気をよりシリアスにして引き締めていました。このバンドを支配しているのは彼なんだなあと。

 

Topic 2 音楽を続ける決意表明

 アンコールでは定番曲や初期の曲をやってくれたのですが、間にはVo.雄貴の弾き語りコーナーも。そこで活動「終了」のことやこれからのことについて語ってくれました。

 活動終了に関しては3点。覚えてる限りでは

1.後ろ向きな原因があるわけではない。原因については文章と今アルバムで表現した。

2.メンバー同士の不仲もない。(むしろ仲良し笑)

3.これまでの活動も否定したくない。これまでの楽曲のファンを大事にしたい。

 これからについては、音楽を嫌いになってはいない、一生のライフワークなのだとおっしゃってました。(会場大拍手)

 Galileo Galileiとしての活動は終了するが、Galileo Galileiとしてライブをもっとしたい。だけどこの感情は矛盾していない。という言葉が印象的でした。

 とにかく今回の決断はポジティブな決断だったのだと伝わりました。

 

 ライブに参加できてよかったと思います。今後参加する方々は是非楽しんでください。ライブに参加できないファンの方々にも、前述した内容が伝わってほしいですね。

 

 ↓アルバム「Sea and The Darkness」のレビューもよろしければ

yamapip.hatenablog.com

 

 

 

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才能の結実

 「Sea and The DarknessGalileo Galilei  総評★☆(4.5)

 先日まさかの「終了」宣言をし、ファンのみならず多くの人々を驚かせた Galileo Galilei。彼らの集大成として世に出されたラストアルバム「Sea and The Darkness」を紹介したい。

 

Topic 1  かつては数ある「王道」若手ロックバンドの旗頭だった

 彼らは2008年に閃光ライオットでグランプリを取ると、「ハマナスの花」や「夏空」など、さわやかなPOPソングを量産、メジャーデビュー以来一気に知名度は伸び、人気若手バンドの仲間入りを果たした。

 

Topic 2  本当の彼らの姿が見え隠れし始めた「青い栞」以降。

 彼らは予想以上の人気っぷりから肩身の狭さを感じた彼らは、拠点を地元札幌に移す。それ以降も、タイアップの影響もあって「青い栞」、「明日へ」といったヒットを連発する。同時に、徐々に彼らの本当にしたい音楽が現れるようになった。目指したのは、エレクトロ・サウンドの導入と、洋楽的ニュアンスとの融合だった。

 特に、洋楽的要素をどう取り入れるかは、多くのアーティストにとっての課題である。古くは、英語に聴こえるように歌った桑田佳祐(サザンオールスターズ)や、洋楽などの影響をもとに最大限大衆的に演出した桜井和寿(Mr.Children)、更には椎名林檎なども皆この課題に対面していた。近年においても、星野源などブラックミュージックを上手く消化し、日本語へ昇華させるのがトレンドになっている。

 

Point 1  音作りから空気感まで、見事な「洋楽的ニュアンス」の実現

 アルバム全編の渡って、音の響き方というか全体の空気感までが計算ずくで作られているように感じる。表現が難しいが、生の音というかいい意味でハンドメイドな感じなのだ。精密だが暖かい。「カンフーボーイ」から、外国の匂い漂うインディロック全開だ。「王道的」ニュアンスの強い楽曲ももちろん魅力だ。「恋の寿命」「嵐のあとで」などがそうであるが、リミックスなどによって流れに上手くのせて、浮かないように注意されている。

Point 2 コンセプトアルバムとしての統一感

 彼らの歌詞も、日本語のみで上手くメロディにのっている。余談だが、個人的に洋楽的ニュアンスを取り入れるために、安直に全般英語詞で歌ってしまうバンドは、日本語をメロディに落とし込む努力をしていないという点で好きではない(といいながらONE OK ROCKやら曲によっては聴いてしまうのだが笑)

 そして今作はタイトルやジャケットからも事前に予測した通り、全体の流れにコンセプトがあり統一感がある。テーマはシンプルに、自身の感情の結露だろうか。それも、苦悩や激しい感情である。

 最後の3曲は、今年暫定No.1の見事な流れである。「そうだこのアルバムはクソだ」など強い言葉が吐かれる「ブルース」、軽快な曲調ながら歌詞に死の匂いが漂っているような「青い血」、そしてサックスのメロディが印象的な、彼らのもつ意識に思わず沈み込んでしまうような名曲「Sea and The DarknessⅡ(Totally Black)」。もうまさに逆転サヨナラの3連続バックスクリーン弾だ(表現古いか笑

 

 最後の最後でとんでもないアルバムを出してしまったGalileo Galilei。是非ともラストライブに参加して、そこで本当の意味で完成される作品を目に、耳にしたい。

 

(※追記)Point 3 「Sea and The Darkness」と「深海」

 ライブでのアルバム完全再現などを通じて連想したのは、Mr.Childrenのアルバム「深海」だった。彼らも、形こそ違うがヒットソングを連続で出し、想像以上の人気に苦しんだ結果、死の香りのするコンセプトアルバム「深海」を出す。そしてライブではアルバム再現を行い、活動を一時休止した。日本古来からの「無常観」とやらは、やはり芸術には不可欠なんでしょうか。

 何となく両者の姿が重なったが、今後はどうなるのやら…とただ思っただけでした笑

  • 1. Sea and The Darkness  ★☆   

     

  • 2. カンフーボーイ / Kung Fu Boy ★☆ 
  • 3. ゴースト / Ghost      

     

  • 4. ウェンズデイ / Wednesday  ★★★

     

  • 5. ベッド / Love Song     

     

  • 6. 鳥と鳥 / Bird Cage     ★★

     

  • 7. 燃える森と氷河 / Different Kinds   ★★★☆

     

  • 8. 日曜 / Her Surprise     

     

  • 9. 恋の寿命 / Limit of Love(re-mix, re-master ver) 

     

  • 10. 嵐のあとで / Aftermath  ★☆

     

  • 11. ユニーク / Unique     

     

  • 12. ブルース / Blues     ★★

     

  • 13. 青い血 / Blue Blood    ★☆

     

  • 14. Sea and The Darkness II (Totally Black)        ★★★★☆

     

  • 15. クライマー(re-master ver) [Bonus Track]   ★★★★

     

  • 16. ボニーとクライド(re-mix, re-master ver) [Bonus Track]  ★★★☆     

 

 

 

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鮮やか明るい優男

「A Head Full of Dreams」Coldplay  ★(4.0/5.0)

  憂いの影がうっすらと見えながらも、それでも相手を楽しませようと明るく振る舞ういい優男、こういう者が一番モテてほしいなあ…。ということで、今回のレビューは

Coldplayの6thアルバム「A Head Full of Dreams」です。

 

Topic 1  油断してたら急遽リリース

 前作「GHOST STIRIES」が去年の夏前にリリースしたとき、これから彼らはどうなるのだろうかと多くのファンが思っただろう。派手で鮮やかな楽曲が有名だった彼らが、このアルバムでは内省的でモノトーンの様な楽曲を多く並べていたからだ。

プロモーション活動も最低限こなすと、彼らはすぐにスタジオにこもってしまった。

 そこから1年7か月、思いもしないタイミングで発売となりました。

 

Topic 2   鮮やかだけどマッチョじゃない

 今作はまた鮮やかできらびやかな楽曲が多く並んでいる。しかし、明るさに振り切りすぎていないところがポイントだ。どこかに憂いをおびているからだろうか?

(先日のスーパーボウルでのパフォーマンスも話題になったが、ビヨンセやブルーノマーズに囲まれるとなんだか一人毛色が違って見えたのも、そのせいに違いない!!パフォーマンス自体はよかった)

 Vo.クリス・マーティンによれば、前作と今作は「陰と陽」で連作であるらしい。其の辺が、いいバランスを生んでたのだろうか。

 

Point 1  きらびやかだけど聴きやすい

 今回は、明るい曲でも聴きやすい。アレンジが大味じゃなくうまく洗練されている。

冒頭の表題曲もそうだが、次の「Birds」がいい。いい部分はたくさんあるが、個人的に好きなとこはアウトロの高揚感。ずっと聴いていたくなる(それだけにフェードアウトが残念)

 そして先行発表されていた「Adventure Of A Lifetime」何といっても、バリバリのギターリフがイカす!久々にギターが主役してるなあと感じる。これもまたアウトロいい。

Coldplayをアウトロ職人に勝手に認定。

 

Point 2  小品的なバラード佳曲が並ぶ

 「Everglow」や「Amazing Day」など、真新しいわけではないが、それでもスッと心に寄り添ってくれる楽曲だ。派手ではないがメロディの良さが消えてない。

 今作では多くのアーティスト、著名人がゲストで参加しているが、特別注目すべきところはないかなあと。(唯一「Up&Up」のノエル節炸裂ソロパートは実家のような安心感笑)

 

 全体的に、もう1、2曲程必殺のアンセムがあれば…という点でパンチは弱いが、それでも耳なじみのいいアルバムになっている。

さすがは全国100万人のもやしっ子のヒーロー、Coldplay兄貴。

 

1.A Head Full Of Dreams   ★ ★ ★ ★

2.Birds            ★ ★ ☆

3.Hymn For The Weekend  ★ ★

4.Everglow         ★ ★ ★

5.Adventure Of A Lifetime  ☆

6.Fun            ★ ☆

7.Kaleidoscope       (インスト曲)

8.Army Of One        ☆

9.Amazing Day        ★ ☆

10.Colors Spectrum     (インスト曲)

11.Up&Up           ★ ☆

12.Miracles(ボーナストラック) 

 

 

 

 

 

A Head Full of Dreams

A Head Full of Dreams