邦楽のド真ん中
「REFLECTION{Naked}」Mr.Children ★★★★★(5.0/5.0)
Topic 1 邦楽界の「POP SAURUS」
日本で最も売れているバンド、ミスチルことMr.Children。彼らは90年代から「innocent world」、「Tomorrow never knows」など多くのヒットソングを量産。2000年以降は、自分たちを「POP SAURUS」と自覚し、多くの人に「売れる」いい曲を作ってきた。「Sign」「しるし」「HANABI」などきりがない。そんな彼らだが、ロックファンからは勘違いされている節があるのではないかと常々感じる。これに異を唱えたいのだ。
Topic 2 音楽界のド真ん中にカムバックする
確かに、2000年後半ごろからの彼らの楽曲はメロディの良さは維持しつつも、ピアノやストリングスを多用したものも多く、「マンネリ化」してきた面もあった。悪く言えば保守的だったのだ。しかし、彼らの様子が変わったのは個人的には2013年からだと思う。彼らは攻撃的で異色のナンバー「REM」をデジタルリリースすると、その年の「SUMMER SONIC」に出演、翌年にはファンクラブツアーを開催し、未発表の楽曲を演奏する。この様子は、映画として発表されるのだが、この楽曲たちがまさに、今回レビューするアルバム「REFLECTION」に収録されている。今さらながら、限定版のほうをしっかりレビューしたい。かなりの長文になりそう(笑)
Point 1 デビュー直後のようなみずみずしさ
ファンクラブツアーに続き、彼らは2年半ぶりのシングル「足音~Be Strong」をリリース。この楽曲は初のセルフプロデュースとなった。2015年にはアルバム発売に先駆けたアリーナツアーを開催。前代未聞の試みは、ミスチル自身の若々しい活力がみえる。もちろん楽曲にも直に影響しており、まるでデビュー直後のようなみずみずしさを放つアルバムが完成した。
疾走感と楽器隊のバランスの良い「fantasy」、しょっぱなからこれが来るとはどんなアルバムなんやと。グッドメロディにギターが鳴り響くイントロ。これが聴きたかった。ギターが主役のPOPソング「FIGHT CLUB」、楽器隊のヘビーでグルーブ感溢れる「I Can Make It」など、ここ何年か鳴りを潜めていたギターが効果的に響いている楽曲が多い。
Point 2 全ての球種を出し尽くす
{Naked}と{Drip}の2つの形式で発売した狙いは、ミスチルの「全て」を聴きたい層と、「選りすぐり」のアルバムとして聴きたい層と対象を分けることだろう。
{Naked}には、いろんなタイプの楽曲を収録している。前述以外にも、ロシア民謡っぽさが癖になる「斜陽」、大人っぽく甘美な「蜘蛛の糸」、初期っぽく甘酸っぱい「運命」、これまでにないような「You make me happy」「Jewelry」など。特にふれておきたいのは「WALTZ」。ダークな雰囲気と、攻撃的なギターリフが堪らない。間奏では、某洋楽ロックバンドMUSEっぽいサウンドが。これは影響受けてんな…笑
もちろん得意技のミドルテンポ+グッドメロディコンボも。「進化論」はGt.田原さんの味のあるギターもいいスパイスになっている。そして「遠くへと」「I wanna be there」はホントにいい。褒めてばっかりでろくなレビューになってませんね笑
Point 3 そして必殺のキラーチューンを
なにより、このアルバムには歴代でも屈指の名曲があとに控えている。前述の「fantasy」、「足音~Be Strong」に加え、ライブでこれから重宝されそうなウキウキのポップソング「幻聴」、難産の末に彼らが完成させた「Statting Over」。「幻聴」は、シンセサイザーとリズム隊がグイグイ活躍している楽曲だ。特にサビに向けての高揚感が堪らない。そして「Starting Over」は、ストリングスを上手く取り入れつつギターを打ち消していないバランスの良さ、そして得意のドラマティックなメロディ。
これだけでも既に大満足だが、ラストを飾るのは「未完」。こんな曲は今までなかった。綺麗に整っていない、アレンジもむき出しで荒々しい感じだ。Vo.桜井さんの魅力の一つは、楽曲ごとに合った歌い方を選ぶところで、時には叫ぶことすらいとわないのだが、この楽曲に関してはもう叫びっぱなしだ。自分たちを示してか「未完」と名付けるところも、にくい演出だ。
会心の一作は、まさにこれまでの集大成といえる作品で、長いキャリアを誇りながら、確実に最高傑作のひとつとして数えられるはずだ。(正直このアルバムが気に入らなければミスチルは合わないと判断していいくらい)果たしてこれを受けて次回作はどうなるのかと(作れるのかと笑)、ファンとしても気になるが、そこはミスチル。アルバム発売後もスタジアムツアーを大成功させると、若手からベテランまで様々なバンドと対バンに臨んだり、今年にはこれまでないような小さなキャパのホールツアーを行うなど、まだまだ精力的に挑戦し続けている彼ら。新曲も披露しているということで、ますます楽しみです。邦楽のド真ん中に立つのは間違いなく彼らだ。
(長々とレビューしてしまいました。全文読んでいただいた方は本当にありがとうございます。)
(※は{Drip}版には未収録)
- fantasy ★★★★☆
- FIGHT CLUB ★★★★
- 斜陽 ★★★☆
- Melody ★★
- 蜘蛛の糸 ★★★★
- I Can Make It ※ ★★★★
- ROLLIN'ROLLING ~一見は百聞に如かず ※ ★★★☆
- 放たれる ※ ★★★☆
- 街の風景 ※ ★★☆
- 運命 ※ ★★★☆
- 足音~Be Strong ★★★★☆
- 忘れ得ぬ人 ★★★★
- You make me happy ※ ★★★
- Jewelry ※ ★★☆
- REM ★★★★
- WALTZ ★★★★☆
- 進化論 ★★★★
- 幻聴 ★★★★★
- Reflection(インスト曲)
- 遠くへと ※ ★★★★
- I wanna be there ※ ★★★★
- Starting Over ★★★★★
- 未完 ★★★★☆
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異空間サイケへの招待
Tame Impala Live @ なんばHatch(2016.4.26)
今回は、去年発表のアルバム「Currents」でグラミー賞ノミネート、今注目のバンド「Tame Impala」のライブに参加しました。
会場はなんばHatch、なんば駅四ツ橋線の改札すぐそばの出口に位置する「湊町リバープレイス」内にあります。
昨日の東京公演の好評さに背中を押され、急きょ当日券を購入し入場。会場は後方に柵があり、そこでのんびり見る客も多いようでした。前のほうへ進むと、するするっと3列目中央に陣取ることができました。これは超絶ラッキー!!
Point 1 音の洪水と、シンクロする照明、映像
とにかく音圧が凄かったです。もちろんライブハウスだからというのもあるのでしょうが、音で空気が揺れていて、迫力が違いました。特にベースの低音と生演奏でのシンセサイザーのきらびやかな音が、全身に降り注ぐようでとても気持ちがよかったです。
イントロを経て、「Let It Happen」からスタート。最新アルバムのみ予習済みだったのですが、その中でも特に好きなこの曲からスタートし、ノリノリでしたね。サイケデリック系の音楽はこれまであまり聞かなかったのですが、ライブだと本当にいいですね。音の隙間がなく、演奏にも厚みがあります。
中盤以降、ミドルテンポな曲も多かったのですが、会場全体が揺れる揺れる(笑)。激しい曲でなくても、会場を盛り上げれる見本でした。個人的には「Eventually」とかかなりノれましたね。
Point 2 会場全体が脳内トリップ状態(笑)
終盤にさしかかると、会場もヒートアップ。実際に前のほうの列で参加していた方なら分かっていただけるかもしれませんが、もう観客の一部は暴走してました(笑)謎のファッキンクレイジー外人さん集団はガンガン前に詰めては、奇声を上げながら踊ってました…。普段ならキレそうなところでしたが、自身も演奏にノリまくって、どうにでもなってしまえ!みたいなテンションだったのであまり気にならなかったです(苦笑)それほどすごいライブだったと思っていただければ…。本当にあの瞬間は皆が異世界にトリップしてました。アンコールは必殺のアンセム「Feels Like We Only Go Backwards」を会場全体でシンガロングした後、もう一曲やってあっさり終了。90分少々のライブでしたが、濃密なライブ体験になったと思います。
まだ若いバンドですが、かなり実力派です。「Currents」しか聴けていないので、今後前作など聴いてみたいと思います。リアルタイムで追っていけるのは幸せだと思います。Vo.ケヴィンの「see you guys soon」の言葉を信じ、またライブが見られることを願います。次の機会、興味がある人は無理してでも参加する価値はあります。
(当日セットリスト)
Walk On
Intro
Let It Happen
Mind Mischief
Why Won't They Talk to Me?
It Is Not Meant to Be
The Moment
Elephant
Yes I'm Changing
The Less I know the Better
Eventually
Oscilly
Why Won't You Make Up Your Mind?
(アンコール)
Feels Like We Only Go Backwards
New Person, Same Old Mistakes
人生を変える音楽
D'Angelo JAPAN TOUR 2016 (3.29 大阪公演)
去年、サマーソニック含め3公演を行い、初来日ライブを大成功させたディアンジェロ。その活躍ぶりにこれは次ある機会を逃さぬべし、と思っていたところ早くも再来日。その大阪公演に参加してきました。ディアンジェロに関しては、アルバムレビューの別記事にて紹介するとして、すさまじかったライブの感想を。
会場は大阪国際会議場 メインホール(グランキューブ大阪)、最寄り駅は京阪電車「中之島駅」で改札を抜ければ案内があり分かりやすいです。
座席は一階前方、舞台下手側でした。これが後々大正解の選択に。
Point 1 会場が踊っていた
前日の横浜公演での話が耳に入っていた通り、大阪公演も開始時間は一時間押し(笑
日本のアーティストのライブではほとんど時間押しなんてないし、(なんなら開演前にカウントダウンやら客を煽る映像をながしたり)、これまで唯一海外のアーティストでライブを見たノエルギャラガーも普通でした。開演までは様々楽曲が流されており、ディアンジェロ本人の選んだセットリストであるらしいです。J Dilla など流れていました。
そして、いよいよスタート。2ndアルバム収録「Devil's Pie」で始まると、早くも会場はヒートアップ。事前にある程度アルバムは聴きこんでいたのですが、バリバリのアレンジで(違う曲の様だ)自然に体が揺れる…。周囲や後ろの客席を見てもみんな踊っていました。テクノやダンスポップでもないのにこんなに会場全体が踊っている様子はなんだか外国のようでした。
Point 2 煽る演者とノる観客
Funkadelicの「Red Hot Mama」、Roberta Flack「Feel like Makin' Love」とカバー曲が続きますが、ファンキーでとても盛り上がりました。そして、(Gt.)Sharkeyの奏でるアコギのイントロで会場は大歓声! 3rdアルバム収録の必殺チューン「Really Love」が凄かった。ここから会場は、盛り上がりを通り越して、なんだかやばい雰囲気に(笑
(正直自分自身もあまり覚えてません。汗)
「The Charade」はディアンジェロ含め3人のギタリストが横並びで絡んだり、ディアンジェロは観客に拳を突き上げるよう煽る。凄くアツかった。
続けて、1stアルバムより「Brown Sugar」を。これまた ファンキーなアレンジ。観客にも一部歌わせようと(そのフレーズが難しい笑)英語で煽るディアンジェロと、なんとか部分部分聴きとりながら必死に歌おうとする観客の関係性が素晴らしかった。歌い切った最前列の観客とディアンジェロは力強くタッチ!!
「Left And Right」はそのアレンジに加え、「Left and Right」「Up and Down 」のフレーズに合わせ、両手でその方向を指すという振り付けが。これをしきりに要求するディアンジェロとコーラス隊がまた愛くるしい。一見ダサいような振り付けだったんですが、繰り返すうちにみんな楽しくなってきたのか、会場の一体感がすごかった。
Point 3 人生でめったにない最高のラスト30分
「Chicken Grease」で会場はこの日最高に盛り上がりました。ライブ仕様のアレンジで大盛り上がりの観客に、ディアンジェロも気を良くしたのか、前に来るように煽る煽る。最前列の客が舞台手前に寄り、遅れて一階席の観客は次々に舞台前に殺到(もれなく私も前へ駆け出しました笑)彼とハイタッチする観客たち。バンドカウントを繰り返すバンドメンバー。ボルテージは最高潮に達しました。あの瞬間グランキューブ大阪の舞台前はライブハウスになりました、冗談ではなく。
曲が終わり、一度引っ込むメンバーたち。以前座席に戻ろうとしない観客と、「皆さんに戻っていただけないと公演が再開できません」と必死に呼びかけるスタッフたち。こんなのホール級の会場で見たことない笑
結局戻りきる前に、再度ディアンジェロ登場でまた大盛り上がり。
何度も歌い始めるふりをしてはやめる彼。焦らすのがうまいです…。そしてピアノで弾き始めたのは「Untitled(How Does It Feel )」一転して、美しい旋律に盛り上がりつつうっとりと聴きこむ矛盾してるような状態に。「How Does It Feel」と歌うよう何度も観客が煽られる。そして、演者が一人ずつディアンジェロと抱き合い退場するおなじみの演出が。もう終わってしまうことが寂しくも、大喝采。そして一人になったディアンジェロのピアノのフレーズを聴き終わり、ライブは終了。
ついつい演奏した曲全て解説してしまいましたがそれぐらい良かった。アルバムを聴きこんでイメージしてたものと全く異なり、ファンクでアツかったライブでした。1時間半があっという間に感じられました。本当に参加できてよかった。
派手な演出があるわけでもない、けれどもその音楽とパフォーマンスのみで魅了されてしましました。間違いなく人生を変えた。それぐらいの衝撃。
音楽への前向きな決意表明
Galileo Galilei "Sea and The Darkness" Last Tour 2016@Music Club JANUS
会場には開場30分前くらいに到着。心斎橋駅からゆっくり歩いて向かいました。グッズを買った後入場列へ。キャパ400人ほどのライブハウスで、整理番号は300後半台でした。5階にロッカーが80近くあり、そのすぐそばが会場入口でした。会場内はおしゃれな雰囲気で、男女お手洗いも中に完備してありました。それでは本編へ。
Topic 1 アルバム完全再現ライブ
事前の告知に沿ってアルバムはしっかり聴きこんできたのですが、まさかの全曲完全再現ライブでした!!バンドは5人体制。
一曲目のSea and The Darkness はフェードイン、フェードアウトがなくしっかりとした一曲として演奏してくれました。何気にすごくかっこよかった。
そこからアルバム曲順通りに。Vo.雄貴の調子は凄くよさそう。「鳥と鳥」あたりから開場も含めノリノリになりました。「恋の寿命」は半音下げで、また違った雰囲気で、「嵐のあとで」はかなり好きな曲だったのでもう感無量でした。
アルバムレビューでも絶賛していたラスト3曲「ブルース」「青い血」、そして
「Sea and The DarknessⅡ」は迫真のアクトでした。Vo.雄貴は感情を込めて、吐き出すかのように激しく、時には叫びながら歌っていて、会場全体はそれを聴きこむというか立ち尽くすというか、盛り上がっているけど放心状態?言葉では言い表せないえらい状態になってたと思います。そして個人的に圧巻だったのがDr.和樹のパフォーマンス。鋭い音とリズムで曲の雰囲気をよりシリアスにして引き締めていました。このバンドを支配しているのは彼なんだなあと。
Topic 2 音楽を続ける決意表明
アンコールでは定番曲や初期の曲をやってくれたのですが、間にはVo.雄貴の弾き語りコーナーも。そこで活動「終了」のことやこれからのことについて語ってくれました。
活動終了に関しては3点。覚えてる限りでは
1.後ろ向きな原因があるわけではない。原因については文章と今アルバムで表現した。
2.メンバー同士の不仲もない。(むしろ仲良し笑)
3.これまでの活動も否定したくない。これまでの楽曲のファンを大事にしたい。
これからについては、音楽を嫌いになってはいない、一生のライフワークなのだとおっしゃってました。(会場大拍手)
Galileo Galileiとしての活動は終了するが、Galileo Galileiとしてライブをもっとしたい。だけどこの感情は矛盾していない。という言葉が印象的でした。
とにかく今回の決断はポジティブな決断だったのだと伝わりました。
ライブに参加できてよかったと思います。今後参加する方々は是非楽しんでください。ライブに参加できないファンの方々にも、前述した内容が伝わってほしいですね。
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才能の結実
「Sea and The Darkness」Galileo Galilei 総評★★★★☆(4.5)
先日まさかの「終了」宣言をし、ファンのみならず多くの人々を驚かせた Galileo Galilei。彼らの集大成として世に出されたラストアルバム「Sea and The Darkness」を紹介したい。
Topic 1 かつては数ある「王道」若手ロックバンドの旗頭だった
彼らは2008年に閃光ライオットでグランプリを取ると、「ハマナスの花」や「夏空」など、さわやかなPOPソングを量産、メジャーデビュー以来一気に知名度は伸び、人気若手バンドの仲間入りを果たした。
Topic 2 本当の彼らの姿が見え隠れし始めた「青い栞」以降。
彼らは予想以上の人気っぷりから肩身の狭さを感じた彼らは、拠点を地元札幌に移す。それ以降も、タイアップの影響もあって「青い栞」、「明日へ」といったヒットを連発する。同時に、徐々に彼らの本当にしたい音楽が現れるようになった。目指したのは、エレクトロ・サウンドの導入と、洋楽的ニュアンスとの融合だった。
特に、洋楽的要素をどう取り入れるかは、多くのアーティストにとっての課題である。古くは、英語に聴こえるように歌った桑田佳祐(サザンオールスターズ)や、洋楽などの影響をもとに最大限大衆的に演出した桜井和寿(Mr.Children)、更には椎名林檎なども皆この課題に対面していた。近年においても、星野源などブラックミュージックを上手く消化し、日本語へ昇華させるのがトレンドになっている。
Point 1 音作りから空気感まで、見事な「洋楽的ニュアンス」の実現
アルバム全編の渡って、音の響き方というか全体の空気感までが計算ずくで作られているように感じる。表現が難しいが、生の音というかいい意味でハンドメイドな感じなのだ。精密だが暖かい。「カンフーボーイ」から、外国の匂い漂うインディロック全開だ。「王道的」ニュアンスの強い楽曲ももちろん魅力だ。「恋の寿命」「嵐のあとで」などがそうであるが、リミックスなどによって流れに上手くのせて、浮かないように注意されている。
Point 2 コンセプトアルバムとしての統一感
彼らの歌詞も、日本語のみで上手くメロディにのっている。余談だが、個人的に洋楽的ニュアンスを取り入れるために、安直に全般英語詞で歌ってしまうバンドは、日本語をメロディに落とし込む努力をしていないという点で好きではない(といいながらONE OK ROCKやら曲によっては聴いてしまうのだが笑)
そして今作はタイトルやジャケットからも事前に予測した通り、全体の流れにコンセプトがあり統一感がある。テーマはシンプルに、自身の感情の結露だろうか。それも、苦悩や激しい感情である。
最後の3曲は、今年暫定No.1の見事な流れである。「そうだこのアルバムはクソだ」など強い言葉が吐かれる「ブルース」、軽快な曲調ながら歌詞に死の匂いが漂っているような「青い血」、そしてサックスのメロディが印象的な、彼らのもつ意識に思わず沈み込んでしまうような名曲「Sea and The DarknessⅡ(Totally Black)」。もうまさに逆転サヨナラの3連続バックスクリーン弾だ(表現古いか笑
最後の最後でとんでもないアルバムを出してしまったGalileo Galilei。是非ともラストライブに参加して、そこで本当の意味で完成される作品を目に、耳にしたい。
(※追記)Point 3 「Sea and The Darkness」と「深海」
ライブでのアルバム完全再現などを通じて連想したのは、Mr.Childrenのアルバム「深海」だった。彼らも、形こそ違うがヒットソングを連続で出し、想像以上の人気に苦しんだ結果、死の香りのするコンセプトアルバム「深海」を出す。そしてライブではアルバム再現を行い、活動を一時休止した。日本古来からの「無常観」とやらは、やはり芸術には不可欠なんでしょうか。
何となく両者の姿が重なったが、今後はどうなるのやら…とただ思っただけでした笑
- 1. Sea and The Darkness ★★★☆
- 2. カンフーボーイ / Kung Fu Boy ★★★☆
- 3. ゴースト / Ghost ★★★
- 4. ウェンズデイ / Wednesday ★★★
- 5. ベッド / Love Song ★★★
- 6. 鳥と鳥 / Bird Cage ★★★★
- 7. 燃える森と氷河 / Different Kinds ★★★★☆
- 8. 日曜 / Her Surprise ★★★
- 9. 恋の寿命 / Limit of Love(re-mix, re-master ver) ★★★★
- 10. 嵐のあとで / Aftermath ★★★★☆
- 11. ユニーク / Unique ★★★
- 12. ブルース / Blues ★★★★★
- 13. 青い血 / Blue Blood ★★★★☆
- 14. Sea and The Darkness II (Totally Black) ★★★★☆
- 15. クライマー(re-master ver) [Bonus Track] ★★★★
- 16. ボニーとクライド(re-mix, re-master ver) [Bonus Track] ★★★☆
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