音楽紀行(ライブレポ、アルバム感想・レビュー)

ライブに行ったレポートやアルバムの感想・レビュー。好きな音楽を見つけるツールにも

近況(16/05/26)

まず、サマソニTHE YELLOW MONKEYの出演が決まりましたね。邦楽ビッグネームの参戦ですが、まあ世代じゃないので機会があればって感じです。

 そんでもって大阪のほうに行くつもりなのですが、見たいのが

一日目

RADIOHEAD 確定

サカナクション or SUEDE

THE YELLOW MONKEY or James Bay

あとは適当にSONIC STAGEに滞在

二日目

Underworld

Weezer

Panic! At The Disco or At The Drive-In

星野源

上原ひろみ

 

といった感じでしょうか…。タイムテーブル待ちですが、最悪RADIOHEADだけでいいです笑 どうやったら最前列あたりに行けるのでしょうか?無理かな…

 

 

 あと、Apple Musicのストリーミング無料体験でRADIOHEADとJames Blakeの新作を聴くことにしました。めっちゃ便利で、確かにこれあったら滅多にCD買わずに済むかもなと思いますね。悲しいですが

近況(16/05/24)

 最近の近況。サマソニのステージ割りに萎える。もうラインナップ的に一日だけでいいかなと思っていて、事前予想でThe 1975、サカナクションRadioheadの流れを期待してたのですよ。見事にトリ被りで倒れそうです。どうしよ…。

 RadioheadとJames Blakeの新作、けっこう評判よさそうで、CD買おうと思っていてんですが、もうダウンロードで済ましてさっさと聴こうか迷ってます。CD買う時代も終わりなのかなあと。

 

 そして、来週注目のEsperanza Spaldingの来日公演、見に行ってみたいと思います。多分楽しめそうです、新作聴く限りでは。

歌える喜びを噛みしめて

「RAINBOW」エレファントカシマシ ★★(5.0/5.0)

 今ある状況が永遠ではないということを自覚したとき、人は覚悟を決めて今できることに全力を尽くす。その瞬間こそ素晴らしいものになるのかもしれない。それはアーティストであったりスポーツ選手であったり…。今回はエレファントカシマシの起死回生の一作「RAINBOW」を、自身をもっておすすめしたい。

 

Topic 1 ライブ活動休止からの復活

 彼らは1988年のデビュー以降、所属レーベルも移りつつ、音楽性も時代ごとに変遷しながら、彼らは常に自分たちのやりたい音楽を続けてきた。タイアップにも恵まれていた彼らだが、2012年、Vo.宮本が急性感音難聴を患う。それ以降ライブ活動を休止する。

 病気、そして年齢を前に彼らは自身を見つめなおす。中年を迎え死へと近づいていることを自覚した時、彼らは自分たちの立ち位置でこその楽曲を制作し始める。

Point 1 27年目にして爆発力満載の傑作

 インスト「3210」を経て、幕を上げる「RAINBOW」、この曲で既に復帰からの逆転ホームランだ。大胆に取り入れたストリングス、そして何よりVo.宮本の歌が圧巻だ。がなりたてるようにテンポの速い歌詞、疾走感溢れるサビ。彼はタバコもやめ、コンディショニングも徹底し始めた結果、声が半端なく伸びやかになっている。彼らの覚悟はキャリア屈指の傑作へ見事に昇華された。Vo.宮本氏自身、この曲を作れたことで自信をもてたと語っている。

 

Point 2 新機軸の多彩なアレンジ

 「愛すべき今日」、復帰後の彼らのあり方が現れている。声の表情が柔らかいのが印象的だ。

 そして、「昨日よ」では、儚いファルセット、「なからん」は力強いロングトーンが聴ける。元々のパワフルボイスに繊細な表現、ファルセットと、もうVo.宮本に手が付けられない状態だ。

 若いプロデューサーの起用もあり、アレンジも前作までにないような多彩さだ。「TEKUMAKUMAYAKON」のデジポップ感が堪らない。コーラスと打ち込みがかなり効いている。「雨の日も風の日も」はストリングスやホーンを大胆にフィーチャーしていて、ド派手なチューンになっている。

 あと、初回限定版には隠しトラックでギター弾き語りの「歩いてゆく」が収録されているが、こちらもかなりの名曲だ。購入検討しているかた、是非初回盤を。

 

 長いキャリアの中で、今が一番脂がのっていて、若々しいといっても過言じゃないはずだ。次回作がどうなるか楽しみなバンドのひとつだ。覚悟を決めた彼らの今後に乾杯。

 

  1. 3210 (インスト曲)
  2. RAINBOW 
  3. ズレてる方がいい ★☆
  4. 愛すべき今日 
  5. 昨日よ 
  6. TEKUMAKUMAYAKON ★☆
  7. なからん 
  8. シナリオどおり 
  9. 永遠の旅人 
  10. あなたへ  ★☆
  11. Destiny 
  12. Under the sky ★★☆
  13. 雨の日も風の日も 
  14. 歩いてゆく (シークレットトラック)

 

 

RAINBOW(通常盤)

RAINBOW(通常盤)

 

 

「声」を届ける仕事

 良い音楽はどこに転がっているか分からない。誰が言ったんだか分からないこの言葉を、僕はけっこう大事にしている。よく洋楽厨だとかロキノン厨だとか言われる存在もあるように、自分の好きなジャンルのみにのめり込む音楽ファンも多い(というかそういうほうが大多数)が、個人的にはアンテナを広げて多くのジャンルからたくさんの「エエ曲」を見つけ出したいのだ。今回は、声優としても活躍する花澤香菜さんの3rdアルバム「Blue Avenue」を紹介したい。軽んじるなかれ、これがまたパワフルな作品なのだ。

Topic 1 音楽的ポテンシャルの高いアルバム

 余談だが僕の悩みを聞いてほしい。好きなジャンルを広げた結果、趣味がバッチリ合う音楽ファンがなかなか周囲にできないのだ。

 邦楽ならミスチル筆頭にポップバンドもよく聞くのだが、困ったことにロキノン系バンドファンや硬派な洋楽ファンには怪訝な顔をされる。Jazzやフュージョン系を聴いても、ロック好きの若者の多くとは話が合わない。某TSUTAYAにてファンク系のアルバムとアイドル・アニソン系のアルバムを借りに行った際の、店員の「アイドル系とアニメ系を借りるのをごまかすために、わざわざおしゃれっぽいアルバム上に重ねてるよこの客(失笑」という視線にはもう慣れっこだ。(ひどい被害妄想だ)

 声優・花澤香菜のアルバムを紹介するにも、やはり他ジャンルの音楽ファンは少なからず壁を作ってしまうのも、当然であるが、それがもったいないことであると声を大にして言いたい。今回の彼女のアルバムは、多くのジャンルのファンに「刺さる」楽曲のオンパレードなのだ。

Topic 2 声優としての人気を武器に、やりたい放題の作曲陣

 彼女は、既にアニメ界では断トツの人気を誇る声優である。近年では声優さんがアーティストとしても活躍するケースも多いが、そういった場合多くは、既にファンを多く持っており、良くも悪くも一定の水準に達していれば曲は売れる。今作に関しても花澤香菜の人気さがあってこそ「音楽性の挑戦」が実現している。

 

Point 1 声がいろんな表情を見せる

 もちろん、主役は花澤香菜の声である。透明感のある声質が、楽曲を他とは違う唯一無二の存在へ引き上げている。声優としての大きな武器を彼女は十二分に発揮する。まず発声がきれいで歌を聴き取りやすい。歌詞が、そのまま繊細な言葉として届く。これはボーカルとして強い。そして声の表情がぱっと変わるのだ。曲に寄り添って、最適の表現を選択する彼女の技術が、声と楽器との調和を深めている。

 さて、一曲目の「I LOVE NEW DAY!」からこのアルバムがどんなものなのか物語っている。ホーンセクションを始め、安易な打ち込みを用いず楽器隊がいきいきとしている。主役の声だが、この曲ではかわいいほうに振り切らず聴きやすさを重視しているように思う。そして間奏は早くも楽器隊のソロパートのオンパレードだ。おしゃれである。「Nobody Knows」では、バリバリのJazz臭い一曲だ。この曲はもう軽快なドラムが支配している。アルバム全体を通して言えるがやはり楽器の音作りや音質がいいのだ。主役はボーカルだが、決して楽器が脇役じゃない。矛盾するようだが実現しているのだから仕方ない。順序が飛ぶが、終盤の「君がいなくちゃだめなんだ」は、声の表現の真骨頂である。息の吸い方、吐き方、言葉の発し方からすべてを計算して歌っている。冒頭の「明日会えたら」の「あ」のかすれさせ方だけで、既にこの曲が必殺のバラードへと昇華されてしまった。(シングル曲については音質も良くなっているらしいです。シングル未所持なので未確認ですが)

Point 2 ジャンルを問わない幅広さ

 ボーカルの表現力を糧に、幅広いジャンルの楽曲を並べることに成功している。アコギのアルペジオとストリングスが効いたマイナー調の「Trace」、歌謡曲の香りが気持ちいい「Night And Day」もかっこいい。間奏のナンバーカウントは可愛くてファンも必聴だ笑

 「We Are So in Love」のイントロを聴いてほしい。まんまフュージョン調のギターがイカす。もちろん間奏も同じくである。変わって「プール」は、異色の挑戦作だ。ピアノとシンセっぽい音がメインを務め、間奏ではアコーディオンのソロがあるこの曲は、椎名林檎が歌ってても違和感ないような甘美な雰囲気が漂った怪作だ。

 

 普通のアーティストとは比べられないくらい、このアルバムはジャンルに縛られていない、そういう意味で異色であり、どうしても言葉で表現しきれない部分もあるが、是非とも多くの音楽ファンに、実際に手にとって聴いてほしい。そしてあわとくば僕のような雑食系音楽好きの輪が広がるように…笑

 

  1. I LOVE NEW DAY ! 
  2. ほほ笑みモード 
  3. Nobody Knows 
  4. ブルーベリーナイト ★★
  5. Trace 
  6. こきゅうとす ★☆
  7. Night And Day ★☆
  8. タップダンスの音が聴こえてきたら 
  9. We Are So in Love ★☆
  10. プール ★☆
  11. Dream A Dream 
  12. マジカル・ファンタジー・ツアー 
  13. 君がいなくちゃだめなんだ 
  14. Blue Avenue を探して ★☆

 

 

Blue Avenue

Blue Avenue

 

 

着飾らない、至高の33分間

「Everything At Once」Travis ★☆(3.5/5.0)

 このGWはレッチリレディオヘッドなどキャリア20年越え組の相次ぐ新作リリース情報で、ロックファンにはとても熱い数日だったと思います。というわけで、今回は結成20周年の、UKロックが誇るバンド、Travisの新作「Everything At Once」を紹介します。

Topic 1 究極の楽曲至上主義

 ファンの方々にはお恥ずかしい限りだが、Travisをまともに聴いたのは今作が初めてだ。というのもCDショップへ行った際に、その場で試聴し即購入したのだ。(あんまりない体験だった。)

 彼らがどんなバンドか調べたが、こりゃ大変だ。20年のキャリアを誇りながら、彼らはとても謙虚だ。彼らを象徴するようなVo.フランの名言「残るのはバンドでなく楽曲だけでいい。」は今後200年はロック史に残してほしい。つまるところ彼らが重点を置くのはただ一点、いかにいい曲を聴かせるかである。

Topic 2 ほとんどの曲が3分程のシンプルさ

 今作では、意識的に彼らは比較的短い楽曲を多く制作している。3分を切る曲が約半数、4分を超えるのはラスト一曲のみであることから顕著にそれが分かるはずだ。インタビューでは、書きたい曲を表すのに4分以上の時間は不要で、贅沢だとまで言っていたと思う。10曲で35分足らずのおさまりの良さは、アルバム通して聴きやすい。

 

Point 1 肩の力が抜けたグッドメロディ

 そう、先で述べたように今回は店頭での試聴で購入を決めたのだが、僕のハートを掴んだのが一曲目の「What Will Come 」だった。ボーカルのメロディが優しくて、心地良い。肩ひじ張らずに聴ける。日常生活で疲れた体には効果的なアプローチである。すごいところが、ギターが後ろで鳴っているのだが、地味にリフは複雑である点だ。楽器はあくまでメロディを主役におくべく工夫をしているのだが、やっていることはレベルが高く難しいことであるのが凄い。この点が、楽曲の聴きやすさに繋がっているのだ。まさに、「これから何が来るの?」状態にされたのだ。

Point 2 キメを外さないところ

 ポップに振り切った(MVのダンスも思わず笑える)「Magnificent Time」や、ロックモード全開の「Radio Song」など多士済々の楽曲が続くが、ここは必殺の美メロバラード「3 Miles High」を推したい。いやもうイントロのシンセだけで飯が三杯食える。こんな優しいメロディ、ささくれた僕の心をすべて洗い流して浄化してくれるようだ。曲はシンプルにアコギのストローク中心に進行されるのだが、アクセントとしてポイントごとにシンセとコーラスが差し込まれる。対照的に、フランの繊細な歌声が目立つ。

 

 彼らはSNS隆盛の現代社会に触発された面が多かったとインタビューに答えていたが、「Everything At Once」=何事も同時に起こってしまうような、慌ただしい現代の生活の中で、せめてこのアルバムを聴いている30分足らずを、何事からも解放された心の安らぎとして大切にしてほしいです。ファンのみならずフジロック参戦予定の方、要チェックです。

  1. What Will Come 
  2. Magnificent Time 
  3. Radio Song 
  4. Paralysed ★★
  5. Animals ★☆
  6. Everything At Once ★★★
  7. 3 Miles High ★☆
  8. All of The Places 
  9. Idlewild ★☆
  10. Strangers On A Train 

     

 

Everything At Once

Everything At Once