The 1975「Guys」歌詞和訳・解釈
5/14にThe 1975の新曲「Guys」がリリースされました。翌週リリースされる新作「Notes On A Conditional Form」に収録される楽曲で、今年2月にイギリスで行われたライブツアーでも先立って披露されました。この曲ではバンドメンバーに向けた思いが描かれています。
和訳だけ読みたい方も多いかと思いますので、※部分について註釈は下段にまとめています。気になる方はそちらもご一読いただくとより楽しめると思います。
和訳
I was missing the guys
みんなのことが恋しくて仕方なかったんだ
In my rented apartment
借りていたアパートにいる間ずっとね(※1)
You would think I'd have realised
普通気づいているもんだと思うだろ?
But I didn't for quite sometime
でも僕はずっとそうじゃなかったんだ(※2)
Started wetting my eyes
涙が溢れてきた
'Cause I'm soft in that department
だってみんなの中で自分は冴えなくて間抜けな存在だと思ってたから(※3)
Right then I realised
そうしてやっと気づいたんだ
You're the love of my life
みんなは僕の一生涯の親友だってことを(※4)
The moment that you took my hand
みんなが僕の手をとってくれたとき
Was the best thing that ever happened
それが最高の瞬間だった(※5)
The moment that we started a band
僕らがバンドを始めたとき
Was the best thing that ever happened
それが最高の瞬間だった
And I wish that we could do it again
またあの瞬間を繰り返したいな
It was the best thing that ever happened to me
僕にとって最高の瞬間だったのだから
It was the best thing that ever happened to me
僕にとって最高の瞬間だったのだから
It was the best thing that ever happened
最高の瞬間だったんだ
I took a zoot outside
マリファナを一本取り出す(※6)
In my coat's secret compartment
隠したコートのポケットの中から
I hear a song and start to cry
曲を聴いて涙する
Pretend it's smoke that's in my eye
煙が目に入ったフリなんかしてさ(※7)
I don't know why I'm surprised
どうして驚いたのかわからないや
'Cause we all shared one apartment
だって僕らみんなで1つのアパートをシェアしてたから(※8)
Man, they were golden times
なあ、良い時間だったよな
They were the best of my life
あの頃は人生で最高の日々だった
The moment that you took my hand
みんなが僕の手をとってくれたとき
Was the best thing that ever happened
それが最高の瞬間だった
The moment that we started a band
僕らがバンドを始めたとき
Was the best thing that ever happened
それが最高の瞬間だった
The first time we went to Japan
初めて僕らが日本に来たとき
Was the best thing that ever happened
それが最高の瞬間だった(※9)
And I wish that we could do it again
またあの瞬間を繰り返したいな
You guys are the best thing that ever happened to me
みんなとの出会いこそが僕の人生で最高の出来事だったんだ
You guys are the best thing that ever happened to me
みんなとの出会いこそが僕の人生で最高の出来事だったんだ
You guys are the best thing that ever happened
みんなとの出会いこそが最高の出来事なんだ
You guys are the best thing that ever happened to me
みんなとの出会いこそが僕の人生で最高の出来事だったんだ
You guys are the best thing that ever happened
みんなとの出会いこそが最高の出来事なんだ
解釈
※1
この曲はバンドのフロントマンMatthew Healyから、同じくメンバーであり親友でもあるAdam Hann,Ross MacDonald,George Danielに向けたラブソング。「みんな」とは彼らのことです。
みんなで集まってるときは楽しいけど、アパートに帰ると恋しく思えてくる。それほど大切な存在についての歌です。
※2
「You would think~」は「普通なら~だと思うよね」という表現だそうです。
では、何が普通ではなかったんでしょうか。それはきっと出会った瞬間には分かっていなかったこと。その後の一節「Right then I realised You're the love of my life」の通り、出会ってから多くの時間を共にする中でみんなの存在の大切さに気付いたということです。「出会ってすぐ分かりそうなものだけどね」とちょっぴり冗談めいて言っているように感じました。
※3
「soft」という単語は様々な意味合いで使われるそうで、勇気がなく目立った特徴もないことや、イギリス特有の表現で馬鹿げた・愚かなことを表すこともあります。(「soft in the head」という慣用句でもしばしば使われます。)
つまりここでは、自分はみんなのなかでも特別目立った存在じゃないし賢いわけではないと自覚している。そう思ったとき情けなくなって涙が出てくる、そんな経験に覚えのある方々も大勢いらっしゃるでしょう。
そして自分が未熟で冴えない存在だと自覚しているからこそ、ずっと仲良くしている親友たちのことが自分にとって欠かせない大切なものだと気付けたのではないかと自分は感じます。
※4
「love of my life」は最上級の愛の言葉。生涯通じて抱くべき愛情。それは恋人、家族、そして親友など、人生の中で滅多に出会えないような大切な存在に向けられるものなのでしょう。
※5
The 1975のメンバーが初めてバンドを組んだのは2002年、当時13歳のことでした。イギリス・マンチェスターよりやや南方にいった町ウィルムスローの学校で出会った4人は後にThe 1975となる前身バンドを結成、当時はパンクロックをカバーしていたそうです。
※6
「Zoot」とはスラング表現で「タバコ」あるいは「大麻・マリファナ等の薬物」を表しますが、秘密のポケットから取り出すので後者かなと考えました。
前作「A Brief Inquiry Into Online Relationships」の収録曲「Give Yourself A Try」にも
I found a grey hair in one of my zoots
という一節がありました。
※7
よくある「泣いてないから!目に埃が入っただけだから!」ってやつですね。
※8
バンドで作った楽曲の良さに驚いて涙を流したのでしょう。どうして驚いたのか、よくよく考えると分からない。1つのアパートをシェアしてみんなで暮らしていた輝かしい時間を思えば、自分たちの手ですごい曲を作れて当然じゃないか!それほど大事で価値のある時間だったと、ここではきっと表現されているのではないかと思います。
※9
The 1975が初めて日本に来たのは2013年。前年から「Facedown」「Sex」「Music for Cars」「Ⅳ」と立て続けにEPを4枚リリースし、1stアルバム「The 1975」のリリースを9月に控えたタイミングでサマーソニックに出演しました。欧米圏でのライブは既に数多く経験していたものの、フルアルバムのリリース前にも関わらず遠く離れた日本から届いたオファー。それを今こうして歌ってくれるのはとても嬉しいです。
出演日はサマーソニック東京会場の2日目(8/11)で、3番目の規模であるソニックステージの2番手(11:15~)という出演枠。
また併せて8月14日にはショーケースとして初単独公演も開催されています。会場は今はもう無くなってしまった原宿アストロホール。400人キャパの会場でした。
22曲81分越えの大作「Notes On A Conditional Form」の最後を飾る、そして前作と合わせてバンドが自称する「Music For Cars」期としてThe 1975の大きな章を締めくくる、最高のエンドロールだと思います。来る新作を聴くのが待ち遠しいと共に、「The first time we went to Japan Was the best thing that ever happened」の一節がここ日本でも大合唱できる光景を、私は夢見ています。