音楽紀行(アルバムレビュー)

邦楽、洋楽問わず聴いたアルバムのレビューを。あと、いい音楽を見つけるツールにも。

Karl (I Wonder What It's Like to Die)和訳

「Karl (I Wonder What It's Like to Die) 」/Pale Waves

I was fourteen, my brother was twenty
When my dad sat me down, and told me you'd left me

パパが私のそばに座って、あなたが逝ったと告げたとき、私は14歳、兄は20歳だった
I never listened when they called you crazy

彼らはあなたを変わり者だと言うが、私はそうは思わなかった

I see so much of you in me lately

近頃は私の心の中に、あなたを何度も見かけるわ


I wrote a song for you

And it's called "Hide + Seek"

私はあなたに贈る曲を書いたの、「かくれんぼ」って言う曲を

You never heard it but I, I got it tattooed on me

あなたにこの曲を聴かせることはできないから、せめてもの思いでこの曲をタトゥーにして自身に入れ墨した
And I'd love to see you sitting in your chair
Smoking away, beautifully unaware

ああ、あなたが椅子に腰掛けてタバコを吹かす姿が好きだったなあ、その美しさに思わず見とれてしまっていたよ


I wonder what it's like to die?

死ぬってどういうことなんだろう

Sometimes you cross my mind

ときどき、あなたの存在が私の心を掠める

Well that's a fucking lie
'Cos you're on my mind all of the time

ええ、ほんとに馬鹿げた話なんだけど、あなたはずっと私の心で生き続けているの

I wonder what it's like to die?

なら、死ぬってどういうことなんだろう


Got in the taxi after my London show

ロンドンでのライブが終わりタクシーに乗ったら

And your favourite song came on the radio

あなたが大好きだった曲がラジオから流れてきた

I cried a little, then I stopped

私はちょっぴり泣いて、すぐ泣き止んだ

Oh, you know I can't hide it

まああなたはお見通しでしょうね

I miss you so much

私はあなたが恋しくて仕方ないよ

 

It was Christmas day when my mum found you

クリスマスの日に私のママとあなたが偶然出くわしたことがあったよね

She puts on a brave face, but I can see right through

ママは平静を装っていたけど、私は彼女の考えを見抜いていたよ

But your mind was beautiful, unusual, so loveable

でも、あなたは違った。あなたの心は美しくて、突飛で、とても愛らしかった。

But you were beautiful, unusual, so loveable

あなたは美しくて、突飛で、とても愛らしかった


I wonder what it's like to die?

死ぬってどういうことなんだろう

Sometimes you cross my mind

あなたの存在が私の心を掠める

Well that's a fucking lie

ええ、ほんとに馬鹿げた話なんだけど、

'Cos you're on my mind all of the time

あなたはずっと私の心で生き続けているの

I wonder, what it's like to die?

なら、死ぬってどういうことなんだろう

 

 

 

 この曲を書いたヘザーによれば、彼女のおじいちゃんについての曲らしいです。

 とてもパーソナルな内容の歌ですが、一方で誰しもの心の琴線に響く素敵な曲でもあります。

 

こちらもぜひ

Pale Wavesというバンドについて - 音楽紀行(アルバムレビュー)

 

My Mind Makes Noises

 

Pale Wavesというバンドについて

「MY MIND MAKES NOISES」/ Pale Waves (★★★★)

  「Their songs are on my mind all of the time.」初めてこのバンドのライブを見て以来私の心には、ずっと彼女たちの曲が響いているようだ。そんな大好きなバンドがデビューアルバムを出した。

 このアルバムを聴けばPale Wavesがいかなる音楽性を有し、いかに輝きを放つ魅力的なバンドなのかが分かる。アルバムのレビューはそのままこのバンドについて語ることにもなるのだ。

 先日Summer Sonic 2018にて初来日し圧巻のライブを披露して以降、日本での人気もうなぎ上り。そんな大注目のバンドによる1stアルバムを全力で紹介したい。

Topic 1 アイコニックなビジュアルとポップなメロディ

 Pale Wavesは、Heather Baron-garacie(Vo/Gt),Ciara Doran(Dr),Hugo Silvani(Gt),Charlie Wood(Ba)の4人からなるバンドである。バンドの中核を担うのは、バンド結成の礎となったヘザーとシアラ。彼女らのゴスっぽい風貌も目を引くが、音楽性は反面明るくきらびやかなギターポップである。

Topic 2 デビュー前から注目されるニューカマー

 イギリスではよくあることなのか、アルバムを出す前からNME誌の表紙を飾り、BBCやMTVでも注目の新人として取り上げられるなど既に注目されている。その盛り上がりは日本にも伝わり、先立ってリリースされていた数曲のシングルに早くも多くの音楽ファンは魅了され、そして初来日すると前述の通り日本のリスナーを熱狂させた。

 そして、サマーソニックや翌日のインストアライブでも披露された楽曲を詰め込んだ待望の1stアルバムが満を持してリリースされたのである。

Point 1 徹頭徹尾ギターポップ


Pale Waves - Eighteen

 冒頭の「Eighteen」、サビのポップさが突き抜けている。メロディのみずみずしさ、万人に対する訴求力はテイラースウィフトやアリアナグランデにも引けを取らないのではないか。


Pale Waves - There's A Honey (Live) - Vevo @ The Great Escape 2018

 「There's A Honey」は彼女らのデビューシングルであり、既にライブにおける必殺チューンとなっている。なぜならば、バンドの魅力がメロディの良さのみにあらず、各楽器の響きにあるということを証明する強力な曲だからだ。ベースの小気味良いラインが楽曲を引っ張り、ドラム、特にスネアドラムのエコーがかった響きがきらびやかな楽曲に奥行きを生んでるように感じる。そしてリズミカルなギターのリフがドンッと入ってくる。素敵な演奏を身にまとい、突き抜けてポップなメロディが「誰もが口ずさめるような楽曲」へと昇華される。

 結論から先に言うと、今作には終始こうしたギターポップが並んでいる。「同一ジャンルの楽曲ばかりで変化が無い。」という感想に頷けないでもないが、そんな感想を力技でひっくり返すような、理屈じゃない勢いのようなものを、やはり感じずにはいられない。(思えば、同レーベルのThe 1975やWolf Aliceだって1stアルバムから楽曲に幅があったかといえばそうではなかったはずだ。だが、それでも多くのリスナーは魅力を感じ取っていた。)

Point 2 圧巻の4連発 

 「When Did I Lose It All」「She」は作中にて数少ない素朴なバラード。極力シンプルな進行でヘザーの歌声に焦点が集まる。「Eighteen」と同じ登場人物を描いたという「When Did I Lose It All」の歌詞も注目ポイントである。

 そして流れ込むエモーショナルなギターソロが堪らない。この2曲をライブで聴き、会場中が感傷に浸る場面を想像するとゾクゾクする。

 


Pale Waves - Television Romance

  The 1975のメンバーであるマシューヒーリーとジョージダニエルがプロデュースした「Television Romance」は(まさにそのThe 1975っぽさもあり笑)「こりゃ売れるわな!」と納得しちゃう完成度。今後の代表曲になるだろう。

 最初から最後までどこにも文句のつけようがない、無敵のロックソング「Red」が続く。(こちらは「Came in Close」と同じ人物についての曲らしい。)

 そして本作で一番のチューンには「Kiss」を推したい。ドラムから流れ込むギターにイントロから拳を思わず突き上げた。Aメロのスタイリッシュなベースは鼻血もの。サビでのギター+シンセサイザーの疾走感は心躍らずにはいられなかった。

 ギターの音色がアルバムの終盤にぴったりな「Black」も含めた4曲は、Pale Wavesの良さがこれでもかと溢れており、今作1番の聴きどころ。Pale Waves聴いてみたいけど、どの曲から聴こうか迷ってるという方には、とりあえず「Television Romance」~「Black」の4曲を続けて聴くようにオススメしたい。

Point 3 一線を画す出色の出来栄え

 ラストの曲「Karl(I Wonder It's Like To Die)」は、ここまでの楽曲と一線を画す。

 日本でのインストアライブで披露された楽曲だが(なんでも世界初披露!?)、その時と同様にアコースティックギターのみで演奏される楽曲。ただただメロディを聴かせるスタイル。ストレートに琴線を揺らす曲調を耳にすると、急に人の素顔を覗き見してしまったようで、ドキリとしてしまう。

 では歌詞は何を歌っているかというと、どうやらヘザーのおじいちゃんについてらしい(本人談)。彼女が14歳の頃に亡くした「あなた」(=おじいちゃん)、その経験や経過した時間を今の視点から見つめて、死とは何か?と思いを馳せた歌である。

 ふと彼女がインストアライブにて、この曲が1番のお気に入りだと言っていたことを思い出した。なるほど、この曲こそがヘザー自身を最もはっきりと表した曲なのだ。

「'Cause you're on my mind all of the time

I wonder, what it's like to die?」という最後の一説こそがこの曲のメッセージの根幹だろう。解釈は聴き手に委ねられるだろうが、私はこの一節を聴いて、ヘザーは希望を持った素敵な人物なんだなあと感じた。

(「ライブでは演奏しないかも。この曲をライブでやったら、会場の人たちが泣いちゃうから、自分も含めて。」なんてヘザーは言っていたが、ぜひとも今後バンドにとってもファンにとっても大事な曲として演奏してもらいたい。)

 

 とにかくPale Wavesがどんなバンドか、どれだけ魅力的かほんの一部でも伝わると嬉しい。「とにかくライブが見たい!」「次のアルバムはまたどうなっていくのだろう?」などとあれこれ考えさせる彼女たちの音楽は、しっかりと私の心にも根を下ろしていった。若い私にとって、デビューからその行く様を追えるバンドは貴重で、しかも彼女たちは無限の可能性に満ちた宝箱のようなバンドなのだ。こんなハッピーなことがあるだろうか。

 Pale Wavesという名前に、以後お見知りおきを。

 

「My Mind Makes Noises」/Pale Waves ★★★★

 

  1. Eighteen ★★★★
  2. There's a Honey ★★★★
  3. Noises ★★★☆
  4. Came in Close ★★☆
  5. Loveless Girl ★★
  6. Drive ★★☆
  7. When Did I Lose It ★★★☆
  8. She ★★★
  9. One More Time ★★★
  10. Television Romance ★★★★
  11. Red ★★★★☆
  12. Kiss ★★★★☆
  13. Black ★★★★
  14. Karl (I Wonder What It's Like to Die) ★★★★☆

※太字はイチオシの1曲

 

MY MIND MAKES NOISES

MY MIND MAKES NOISES

 

 

 

 

熟練

ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2018「BONES&YAMS」@KBSホール(18.07.19)

 友人に誘われてさくっと見に行きました、アジカン。アルバム曲やカップリング曲まで全て網羅してるほどのファンではないのですが、以前アリーナツアーで見たライブが素敵で、今回も行ってみようと思い、これが大正解。

 「荒野を歩け」は前に自分でもバンドでコピーしたことがあったのですが、もう段違いに演奏が良くて(当たり前だ)ライブが進むにつれ「アジカンってこんなにうまいバンドだったんだ…。」と圧倒されました。派手なフレーズとかでなく、どのパートも隙がない感覚は、海外のアーティストであってもなかなか感じられないもので(ライブハウス規模の会場だったおかげもあり)骨の髄までバンドの底力のようなものを鑑賞し尽くしました。

 個人的に聴いて感動したのは、「サイレン」無限グライダー」の2連続。特にサイレンはバンドの実力がこれでもかと発揮されて、どうなるか分からない緊張感ある曲の展開に引き込まれました、今回のライブのハイライトでした。

 オープニングアクトを務めたNick MoonとやったRadioheadのカバー「High&Dry」もびっくりしましたが、素敵な演奏でした。思わず口ずさんでしまった…笑

 ライブから今のバンドがすごく状態が良く活き活きとしているのが伝わってきました。いよいよ出るニューアルバムも期待せずにはいられないなあ、と感じました。

 

セットリスト

  1. Right Now
  2. エントランス
  3. 荒野を歩け
  4. 白に染めろ
  5. 極楽寺ハートブレイク
  6. ロードムービー
  7. サイレン
  8. 無限グライダー
  9. 永遠に
  10. ノーネーム
  11. 未だ見ぬ明日に
  12. 架空生物のブルース
  13. 生者のマーチ
  14. 夜を越えて
  15. サイエンスフィクション
  16. 融雪
  17. Re:Re:
  18. Standard / スタンダード
  19. ワールド ワールド ワールド
  20. 新しい世界
  21. High and Dry (with Nick Moon / Radiohead cover )
  22. 君の街まで
  23. ブラックアウト
  24. 今を生きて

 

ボーイズ&ガールズ(初回生産限定盤)(DVD付)

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群雄割拠UKロック界の新星

Goat Girl Japan Tour 2018 @CONPASS(18.06.27)

 今UKロック界隈が熱い。ロックは死んだと揶揄されヒップホップやエレクトロが隆盛の昨今だが、イギリスから注目のアーティストがどんどん登場しているのだ。今年だけでもShameやPale Wavesといった新進気鋭のバンド、あるいはソロアーティストではTom Mischが台頭したイギリスは今や群雄割拠。そんな中異色の存在として注目すべきはGoat Girl、その記念すべき初来日公演をレポートする。

Topic 1 異なるバックボーンを包含

 Goat Girlは女性4人組のバンドであるが、メンバーそれぞれがもつ音楽ルーツは異なっており、それが彼女らの楽曲の多様性を生んでいる。

 ボーカル・ギターであり作詞の多くを担っているLottieはフォークやジャジーな歌を好むが、クラブミュージックを好んだりジャズ音楽に明るいメンバーもいるようだ。

Point 1 よりロックへと昇華される

 SEに合わせ登場した彼女たちは、笑顔を浮かべながら挨拶をした後さっそくライブを始めた。アルバムの楽曲はラフではあるが部分部分で精巧さも感じさせるようなバランスだったが、ライブになるとより荒々しく勢いがある!強いメッセージが込められた「Burn The Stake」や「Viper Fish」など音源よりも「ノれる曲」と化していて、会場は徐々に熱を帯びていった。

Point 2 彼女らの生活

 「The Man」はもう彼女たち必殺のアンセムだった。冒頭のギターリフから終盤のメンバー同士の掛け合いまで盛り上がる要素まみれ。この曲はもっと大勢がいる会場、フェスでも聴いてみたいなあと感じた。

  メンバーそれぞれの演奏も素晴らしかった。ギターのL.E.D.やベースのNaimaはクールに演奏・コーラスをこなすのが絵になるし、ドラムのRosyは豪快に叩きつつグビグビ缶ビールを飲みながらのプレイは多くのファンを生んだに違いない笑(酒飲んでて間に合わないからシンバル手でたたいたり…)彼女たちのライブを見た人なら少なからず、「自分もこんな素敵なバンド組みたい…。」思ってしまうはずだ。

 Goat Girlの楽曲からは、ロンドンで普段彼女たちが見聞きしているものや匂い、それに対するいろんな感情というのが感じられる。これこそがとても魅力的で、ライブでもロンドンを歩いて回ったかのような感覚が心地よかった。

 今後ますますビッグになっていくことが期待できる、そんな彼女たちの初来日公演に来られて幸せだった。

 

(Setlist)

  1. (SE) Salty Sounds
  2. Burn The Stake
  3. Viper Fish
  4. Cracker Drool
  5. Slowly Reclines
  6. The Man With No Heart Or Brain
  7. Throw Me A Bone
  8. The Man
  9. Lay Down
  10. I Don't Care Part 1
  11. I Don't Care Part 2
  12. Scum
  13. Scream
  14. Crow Cries
  15. Mighty Despair
  16. Little Liar
  17. Tomorrow
  18. Countly Sleaze

 

Goat Girl [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック3曲収録 / 国内盤] (RTRADCDJP884)

Goat Girl [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック3曲収録 / 国内盤] (RTRADCDJP884)

 

 

2018年上半期アルバムベスト10

パッと並べましたが、これら以外にも傑作揃いの上半期だったと思います。下半期にも期待!他にもオススメとか教えていただきたいです。

High As Hope / Florence + The Machine

High As Hope

最高に魅了されたメロディでした、多分5年先でも愛着持って聴いてるはず

アダムとイブの林檎 / Various Artists

アダムとイヴの林檎

いろんな才能が化学反応を起こす、聴いてる側が終始楽しめる祭りのようなアルバム

Geography / Tom Misch

Geography [帯解説・歌詞対訳/ボーナストラック2曲収録/国内盤] (BRC564)

既に完成された、熟練の境地ですよね

ライブはしっかり単独で見たい

Call Me By Your Name(Original Motion Picture Soundtrack) / Various Artists

Call Me By Your Name (Original Motion Picture Soundtrack)

映画での青く儚い情景を形作る一因は音楽だったのだと確信できる、美しい楽曲群です

Goat Girl / Goat Girl

Goat Girl [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック3曲収録 / 国内盤] (RTRADCDJP884)

各メンバーがルーツを持った多ジャンルの要素を包含したロック、超新星です

Freedom's Goblin / Ty Segall & The Freedom Band

 

ロックの途が開かれたまさに自由を謳歌する音楽、ロックが好きでよかったとさえ思った

Tranquility Base Hotel & Casino / Arctic Monkeys 

Tranquility Base Hotel & Casin

アクモンだから過小評価も過大評価もされてるが、のんびり酒と一緒に嗜む小品的作品

Black Panther:The Album / Various Artists 

Black Panther: The Album

ヒップホップ、R&Bのかっこよさを僕に逐一教育してくれる、名曲の宝庫

Offerings / Typhoon

Offerings

世界での立ち位置は不明だが、Coldplay,Museらスタジアムバンド並みのスケール感!

Superorganism / Superorganism

Superorganism

新しい音楽を聴いてる感覚、これでデビュー作だから末恐ろしいですよね

 

 

 

一騎当千

Ed Sheeran Live In Japan 2018@大阪城ホール(2018.04.11) 

 ここまで日本中が待ち望んだ公演があっただろうか、満を持して迎えた来日ツアー初日、期待をあっさり超えていく迫真のライブをレポートしたい。

Topic 1 世界的成功を果たしたエド

  2014年に2ndアルバム「×」を発表したエドシーランは、グラミー賞各賞にノミネートされ、「Thinking Out Loud」で最優秀楽曲賞を受賞し一気に世界的スターへと上り詰めた。しかし勢いはとどまるところを知らず、2017年に3rdアルバム「÷」をリリース。シングルとしてリリースされた多くの楽曲が、世界中はもちろんここ日本においても人気を博した。

Topic 2 ツアー延期からの…

 そして勢いそのままに決まった来日ツアーは本来昨年10月末から始まる予定だったが、なんとエドシーラン本人の骨折により延期に。しかも、改められた日程はなんとBruno Marsの来日とぴったり被るという!今世界を席巻する2大ポップスターが両雄そろって日本にいるというのは、世界中見ても無いレアな状態でした。

Point 1 一人でもスタジアム級

 時間ぴったりに始まったライブは、「Castle on the Hill」「The A Team」など人気曲を披露する。会場は大いに盛り上がる中、「Bloodstream」は彼がいかにスタジアム級のアーティストなのか体感するのにぴったりな一曲だった。ループペダルを駆使し、キーボードとギター一本、そして自身の歌声のみでアンサンブルを不足なく成立させる。素敵な照明や映像を用いながら一人で会場中を魅了する。

 大きな会場を1人でライブする、これは恐ろしいものだ。初めバンドメンバーなしでライブをすると聞いたときは、「素敵な楽曲群を一人で再現できるのか、広い会場だと物足りないのではないか。」と感じたが、まさに杞憂であった。

Point 2 歌心

 「I See Fire」や「Perfect」、「Tenerife Sea」など素敵なバラードは、じっくりと演奏を聴く日本の観客に合わせてか、普段より丁寧に歌われより一層その歌心が染み出ていた。つくづくエドシーランのメロディセンスの良さを強く感じられる。

 「Thinking Out Loud」はまさに白眉。星空やカップルのイラストが映り、うっとりするような素敵な映像とともに優しいエドの歌声が会場中に響き渡っていた。このライブ一番の美しい瞬間だったに違いない。

Point 3 圧巻のループペダル使い

 本編ラストの「Sing」では、おなじみのフレーズを観客に合唱させたままステージを一度降り、再び「阪神ユニフォーム」を来て登場する演出で会場はひとつに。

 そこから、満を持して観客すべてが一番待っていたであろう「Shape of You」でこの日一番の盛り上がりを見せた。

 圧巻だったのはラストの「You Need Me, I Don't Need You」であった。ループペダルを使いこなす彼の真骨頂がこれでもかと発揮されたこの曲でのパフォーマンスはもう圧倒的。ループペダルにより次々に重ねられるギターのフレーズ、畳み掛けるような攻撃的なラップ(彼のあこがれるエミネムの影響も大きいのだろうか)。刺激的な照明、何度も繰り返されるエド自身による熱い煽りも相まって、最後の最後でとんでもない大興奮をもたらされた。

 

 なぜエドシーランは世界を席巻するのか、なぜ多くの人々を魅了するのか。その神髄が堪能できた素敵なライブだった。「また来年来るよ!」というMCは(来日アーティストおなじみのコメントだが)期待したい。20周年であるサマーソニックか、もしくはフジロックか。また来日も含め彼の大躍進に期待したい。

 

(Setlist)

  1. Castle on the Hill
  2. Eraser
  3. The A Team
  4. Don't / New Man
  5. Dive
  6. Bloodstream
  7. Happier
  8. I'm a Mess
  9. Tenerife Sea
  10. Hearts Don't Break Around Here
  11. Galway Girl
  12. Feeling Good / I See Fire
  13. Photograph
  14. Perfect
  15. Nancy Mulligan
  16. Thinking Out Loud
  17. Sing
  18. Shape of You
  19. You Need Me, I Don't Need You

 

÷(ディバイド)

÷(ディバイド)

 

 

決別と始まり

'BBHF'@恵比寿LIQUIDROOM

 Bird Bear Hare and Fishによる結成後初ライブを見てきました。正真正銘の歴史的瞬間だったと明言できます。

 

Topic 1 「おもちゃの車」を降りて行く先

 今年に入り、「Bird Bear Hare and Fish」としてバンド結成の報せが届く。奇しくも当バンドのフロントマンである尾崎雄貴によるソロプロジェクト「warbear」のツアー「鳥と熊と野兎と魚」が行われる最中での発表だった。

 メンバーは尾崎雄貴(Vo. Gt.),佐孝仁司(Ba.),尾崎和樹(Dr.),DAIKI(Gt.)の4人。活動終了したGalileo Galileiのメンバー(DAIKIはライブでのサポートメンバーだった)による「新バンド」であった。

Topic 2 行き先占う先行シングル

 初ライブの直前には、BBHFとしての初シングルも発売した。「ページ」はこのバンドがどんな趣向の音楽をやっていくのか部分的にだか提示する曲であったし、「次の火」は明らかにこれからのことを歌っているであろう示唆的な歌詞だった。

Point 1 「君の好きな曲はやらない」

 BBHFの旗揚げを飾る一曲目は新曲であり、「君の好きな曲はやらない」らしきことを歌っており、明確にGalileo Galileiとしてやった活動や音楽は一切振り切ってやっていくという意思表示に他ならない。「Galileo Galileiの曲どれやるかな?」なんて考えながら訪れていただろう会場の全ての人に対して、高らかに示して見せたのだ。

 

 warbearとしてのソロツアーではGalileo Galileiでの曲を交えていたのに対し、彼らは初ライブにおいて、全曲彼らの新曲のみを披露した。(カバー曲1曲含む)

 

Point 2 明らかに見える洋楽の影響

 Galileo Galileiであった頃から洋楽の影響や憧れは強かったが、BBHFとしてやる音楽にはより強い影響を感じさせられた。

 2曲目に披露された曲は、ギターのフレーズがミニマルかつドラマティックで思わずThe xxを連想した(開演前BGMでも流れていた)。

 続いて披露したのはNew Orderの「Bizarre Love Triangle」のカバー。エレクトロな要素もあるこの楽曲も素敵なアレンジで彼らなりの演奏。

 ゆったりめの4曲目はノれる不思議な楽曲。5曲目は、彼らが以前より関心を持っていたバンドであるThe 1975の影響を色濃く反映した、甘いシンセサイザーの音色が印象的でした。

 

Point 3 末恐ろしいアルバムに

 ライブを振り返ってみると、やはり先行で出した2曲は、BBHFのこれからを端的に知るには良い曲だったのだろうと推測できる。

 「ページ」のあとに披露された楽曲は、クラップ音も織り混ぜた緩やかな曲で、アルバムで輝きそうな1曲。そのほか幅広い楽曲が全編にわたり並べられた。

 

 今回披露された曲はカバーを除いて12~13曲ほどだったが、これらの曲がよりブラッシュアップされてアルバムとなるなんて、とんでもない。

 Galileo Galileiとしてのラストアルバムである「Sea and The Darkness」やソロで発表した「warbear」でやってきた音楽を更に深めつつ、このバンドでしかやれないロックサウンドに昇華された楽曲は本当に素晴らしく、初めて聴く会場の観客皆を魅了した。

 

 アンコールで披露した「Work」は、父親となった尾崎雄貴自身の新たな心境も垣間見える傑作で、これまたアルバムとして音源で聴くのが待ち遠しい。

 

 演奏自体にも円熟を感じた彼ら。もはや元Galileo Galileiという文脈は不要だろう。

 いずれ出る大傑作と、これからの躍進を予感する、そんな素晴らしい初ライフでした。ここから始まる。

 

(Setlist)※間違え等あるかもしれません

  1. ウクライナ
  2. ダッシュボード
  3. Bizarre Love Triangle(Cover:New Order)
  4. レプリカント
  5. Hearts
  6. 夏の光
  7. ページ
  8. Wake Up
  9. Differents
  10. 骨の音
  11. 次の火
  12. Work

ページ/次の火