音楽紀行(アルバムレビュー)

邦楽、洋楽問わず聴いたアルバムのレビューを。あと、いい音楽を見つけるツールにも。

Mr.Children19thアルバム「重力と呼吸」全曲レビュー

 「無意識」

 Mr.Childrenはデビューして20年以上、日本の音楽界の第一線で成功を重ねている。しかし僕は、彼らほど実直で臆病なバンドはいないのではないかと思う。

ヒットソングを量産していても、リスナーの反応を気にするし、堂々と他のアーティストを羨み嫉妬したり、音楽界での立ち位置をいまだに意識したりしているからだ。

 

そんな彼らが泥臭くひたむきに、それでいて自分達のやりたいように作ったアルバムが「重力と呼吸」だ。賛否両論出るのも仕方ない、なぜならこれまでのアルバムとはベクトルが大きく異なるものだからだ。

 

今作は全編通じ、バンドサウンドに重心が置かれている。より肉体的・衝動的なバンド性によってリスナーに訴える作品だ。

桜井和寿のボーカルを中心に添えて、それをいかに彩っていくかというのがこれまでのやり方。しかし本作では、ボーカルとバンドの音を分けずに1つのものとして楽曲の「骨格」に据えている。ドラムがえらく重く鋭い音を響かせてるし、それに引っ張られるようにギターの音はどんどん前に出てくるし、ベースがこれだけ骨太な音を出してるの初めてじゃないか。

 

歌詞の内容も、そうした楽曲の構成にリンクしてこれまでと少し違う。

これまでの楽曲は1番、2番と進むにつれ徐々にストリングスなどが加わり、壮大になっていくアレンジが多く、それに合わせて歌詞も、身の回りのことを言った後で大きな視点に移ってより壮大なテーマを描いたり、今ある絶望を提示した上で希望を強調して見せたりする内容が多かった。

しかし本作は、シンプルなバンドサウンドを「骨格」としたままずっと進行するため、歌詞もフラットな視点のまま、言い換えると温度の高低差を演出することなく平温のままリアルな世界が描かれているように感じる。

 

前置きが長くなったが、全10曲、骨太でいて、さらりと流れる不思議なこのアルバムについて、全曲感想です。

 

1.Your Song

なぜこの曲をアルバムに先駆けて公開したのか、アルバム通して聴いた今なら分かる。

この曲は今作がどういう歌を歌っているのかを示しているからだ。

君と僕が重ねてきた

歩んできた たくさんの日々は

今となれば

この命よりも

失い難い宝物

という歌詞、2番以降で歌っているように「たくさんの日々」には良いことも悪いことも含まれるんだろう。

これまでなら対比させていた絶望と希望を、まるまる受け止めて向き合って、フラットな視点で描いていくよ、という宣言みたいなものをこの曲から感じる。

 

そしてサウンド面。バンドサウンド主体で、ミディアムバラードだけど重すぎずさらりとしているところがめっちゃ良い。

2番サビ後のギター、ディレイ+リフレインのエフェクトがかかった音色がもう堪んなくって…。音色が心の奥底からじんわり侵入していって琴線を揺らす感覚。

(MVも二種類作られていて、どちらも素敵な内容でした!)

2.海にて、心は裸になりたがる

ライブでの掛け合い意識した部分とか、ポップパンクっぽいカッティングギターとか、強引に転調するところとかめっちゃ若々しい。

3.SINGLES

 シンプルにバンドサウンドを鳴らしているのに、平坦に聴こえない不思議な疾走感と曲の展開が大好物、ご馳走様です。

聴きどころは2番サビ後から。何重にも重ねたギターサウンドが荒ぶる、荒ぶる。ドラムがドコドコ鳴り響く。複雑に交差する楽器の音に「ここからどうなる!?」って次の音が予想できない間奏は、えもすれば煩雑に聴こえるかもしれないが、僕にはそれが新鮮で、荒削りなところに魅力を感じた。

 

歌詞はシンプルな言い回しが多い。

守るべきものの数だけ

人は弱くなるんなら

今の僕はあの日より

きっと強くなったろう

という部分からタイトルの意味を知らされ、ハッとした。なるほど「SINGLES」とは別離を示していたのか。

 

あとCメロの

寂しさっていう名の歌を歌ってる

のところで、メロディに字余りの歌詞を詰め込みました感、本作一番のスッキリポイント。

(MVを見ると、最後のシーンで向日葵が移り混んでいて、「himawari」と同じ世界観だと示唆しているのかな?)

4.here comes my love

 

yamapip.hatenablog.com

  この曲、これまでの活動、ヒカリノアトリエでの取り組み、そして今作でのバンドサウンドを全てつないだ楽曲だなあと感じました。

ミスチルの真骨頂であるドラマチックなメロディに、ストリングスやフルート、トランペットなど様々な楽器を、ヒカリノアトリエで培ったバランス感覚で適度に取り入れ、タイトで力強いバンドサウンドがドンッと真ん中に居座ってる。しまいには開き直ってバリバリQueenオマージュのギターソロまで。

ここ数年メロディは良いのに、量産型しるしかよってくらい似通ったアレンジの曲がいくつかあって、「なんでや桜井、いっそ俺をスタジオに入れてくれ」ってくらい歯痒かったが、これだけ色々やりたいことを詰め込んだ曲を聴いたら、楽曲に携わったメンバーやミュージシャン達の生き生きとした姿が思い浮かんできて、思わずグッときた。

 

5.箱庭

こういう「箸休め」的な曲が入ってると、アルバムの流れが良くなって個人的には嬉しい。ポップで軽やかな曲調は、「Kind of Love」や「Versus」など初期の作品に並んでいても違和感ないですね。

それでいて、明るいメロディに重めな歌詞を乗せるミスチルお得意のやり方。

残酷なまでに温かな思い出に生きてる

箱庭に生きてる

ここの一節がこの曲の全てで、大好きだった「君」を失ってなお、僕と君だけで成り立っていた世界に取り残されたままだということを表すのに、「箱庭」という単語を選択するセンス。

6.addiction

 うおっ、なんじゃこのイントロ!ジャズファンクな感じ、これは新感覚で面白い。ピアノと小気味良いドラム、そしてベースの高低差あるフレーズが気持ちいい。

そう思いつつ歌詞見たら、ぶっ飛ばしてますねえ。「addiction」は「中毒、依存」って意味なんですが、明らかに薬物中毒に苦しむ人の話。敏感なご時世に海外のヒップホップみたいなテーマ選び。毒ソング。ライブで聴きたい。

 

7.day by day(愛犬クルの物語)

まごうことなきQueenオマージュな1曲。桜井さん、あんたどんだけ好きやねんと。タイトルとは裏腹に結構ロックな感じで驚いた。

8.秋がくれた切符

安心のミスチル印、バラード収録のノルマ達成。さらっとしてて、次の曲への流れが良い。

9.himawari

 

yamapip.hatenablog.com

まさかのアルバムバージョン。

ボーカルや一部のギターやキーボードが録り直されている他、楽曲自体のミックスとマスタリングも改められており、シングルの音源と比べると本作でマスタリングに起用されたJoe Laportaの仕事ぶりが分かる。(彼は世界中の名だたるロックバンドと仕事をする凄腕エンジニア!)

シングルverと比べてストリングスが奥に引っ込み、その分ドラムやベースの音が明瞭になってるし、ギターがよりラウドな音になって前に出ている。ボーカルのマスタリングも変わってて、よりバンドサウンドの中に溶け込んだように聴こえる。

歌い直されたボーカルはよりメリハリがついて、熱い感情がドロドロ溢れるようなシングルverに比べ、より静かに心の奥底に渦巻くいびつな感情が揺れ動いているようなテイストに。

そんな君に僕は恋してた

のところが弱々しく響く歌声に変わっていて、よりじんわりと優しさが染みるようになって印象的。

 

矛盾する優しさや激しさが同居するこの曲、これ以上言葉を尽くすのは野暮。ぜひ直接そ耳にして欲しい。

10.皮膚呼吸

 docomoとの25周年コラボCMにて、デモ曲として先に世に出ていた1曲。

この曲はアルバムを作った動機について雄弁に語っていて、本当にグッと来ました。

もう試さないでよ

自分探しに夢中でいられるような

子供じゃない

と、ファンの期待に応えることを意識して「こうした方が良いよね」って形でこれまでうまくやってきたことを振り返りつつ

変わっちまう事など怖がらずに

まだ夢見ていたいのに…

と、また昔のように無我夢中で音楽を作りたいと歌っている。

 

思えば、タイトルの「重力と呼吸」、そして皮膚呼吸は、無意識に感じ、無意識に行われることである。

皮膚呼吸して 無我夢中で体中に取り入れた

微かな酸素が 今の僕を作ってる そう信じたい

これまでの長い活動の中で無意識に重ねてきたものが今のバンドを形作っていて、そこから何の考えや意図も持たず無意識に出たMr.Childrenというバンドの音を、そのまま届けたのがこのアルバム。だからこそ

僕にしか出せない特別な音がある

きっと きっと

あるがままの自分たちの音楽が、リスナーにとって「特別なもの」になるようにと歌っているのだ。

ここまで正直に、迷いながらも高らかに自分の心を丸裸にした歌詞って初めてではないだろうか。こういう心境のもと、本作のようなフラットでストレートなアルバムができたんだなあと感じた。

 

 

デビューして27年目になるバンドが、これ程まで実直に、素直に作り上げたこのアルバム。

多くのリスナーが先入観も評論家めいた見方も一度取り去って、無意識に重力を感じるように、無意識に呼吸するように、「考えるな、感じろ」の精神で聴いてくれることを願いたい。

重力と呼吸

ドラクエ風ターン制バトル「獣ゆく細道」

 

椎名林檎宮本浩次(エレファントカシマシ)によるコラボ曲「獣ゆく細道」がもう、天才同士の殴り合い。

個性ビンビンの歌声を持つ両者が、互いの技量をこれでもかと見せつける。それでいて、見事なバランスで曲として破綻しない。ギリギリの綱渡り感、その危うさが堪らない。どうなってんの?

 

 1番のメイン旋律は宮本が歌う。いやいや、椎名林檎作詞作曲で、文学的な歌詞をバリバリ癖のあるメロディに載せてるのに、一音目からまるで自分の曲だったかのように歌いこなしてますやん…化け物かよ。

行く先はこと切れる場所 大自然としていざ行かう

ソース・Source: https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/sheena-ringo-hiroji-miyamoto/kemono-yuku-hosomichi/

サビ部分、ここで「行こぉぉぉうぅ」って歌い方とか宮本浩次宮本浩次たる部分たっぷりで、「ここの歌詞自分で書いたの?」ってなった。

 

間髪入れず2番のメイン旋律は椎名林檎が担当。今度はこちらの番とばかりに面目躍如。最初の「そっと」の発声だけで、ぶわっと彼女の世界観へと引き込まれてしまう。こちらもとんでもねえ。普段耳馴染みのない文学的なフレーズが、こうもすんなり楽曲として聴けるのはひとえに、彼女のボーカリストとしての力量。

 

そして白眉だったCメロ。

本物(モノホン)か贋物(テンプラ)かなんて無意味(ナンセンス) 能書きはまう結構です

幸か不幸かさへも勝敗さへも当人だけに意味が有る

ソース・Source: https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/sheena-ringo-hiroji-miyamoto/kemono-yuku-hosomichi/

「モノホン」「テンプラ」「ナンセンス」といった飛び道具的に挿入された横文字を、ここまで甘美に歌うのか椎名林檎…。と思えば、「もう結構です」と(椎名林檎の楽曲には度々ある)フレーズ中のアクセントとして入れられたであろう敬体口調を、宮本が本家顔負けのさらりとした調子で違和感なく歌い上げる。バチバチですわ、化け物同士のワルツ。

 

 

たった3分44秒の曲だが、これもうターン制バトル。代わる代わる2人が、ボーカリストとしての魅力を余すところなく見せつけてくる。ここまで濃厚なひとときを楽しめるなんて反則でしょ。

 

繰り返し聴いてたら2人のハモりが気持ちよすぎて、「もう好きにしてくれ」と白旗あげました。

獣ゆく細道

 

 

 

 

Karl (I Wonder What It's Like to Die)和訳

「Karl (I Wonder What It's Like to Die) 」/Pale Waves

I was fourteen, my brother was twenty
When my dad sat me down, and told me you'd left me

パパが私のそばに座って、あなたが逝ったと告げたとき、私は14歳、兄は20歳だった
I never listened when they called you crazy

彼らはあなたを変わり者だと言うが、私はそうは思わなかった

I see so much of you in me lately

近頃は私の心の中に、あなたを何度も見かけるわ


I wrote a song for you

And it's called "Hide + Seek"

私はあなたに贈る曲を書いたの、「かくれんぼ」って言う曲を

You never heard it but I, I got it tattooed on me

あなたにこの曲を聴かせることはできないから、せめてもの思いでこの曲をタトゥーにして自身に入れ墨した
And I'd love to see you sitting in your chair
Smoking away, beautifully unaware

ああ、あなたが椅子に腰掛けてタバコを吹かす姿が好きだったなあ、その美しさに思わず見とれてしまっていたよ


I wonder what it's like to die?

死ぬってどういうことなんだろう

Sometimes you cross my mind

ときどき、あなたの存在が私の心を掠める

Well that's a fucking lie
'Cos you're on my mind all of the time

ええ、ほんとに馬鹿げた話なんだけど、あなたはずっと私の心で生き続けているの

I wonder what it's like to die?

なら、死ぬってどういうことなんだろう


Got in the taxi after my London show

ロンドンでのライブが終わりタクシーに乗ったら

And your favourite song came on the radio

あなたが大好きだった曲がラジオから流れてきた

I cried a little, then I stopped

私はちょっぴり泣いて、すぐ泣き止んだ

Oh, you know I can't hide it

まああなたはお見通しでしょうね

I miss you so much

私はあなたが恋しくて仕方ないよ

 

It was Christmas day when my mum found you

クリスマスの日に私のママとあなたが偶然出くわしたことがあったよね

She puts on a brave face, but I can see right through

ママは平静を装っていたけど、私は彼女の考えを見抜いていたよ

But your mind was beautiful, unusual, so loveable

でも、あなたは違った。あなたの心は美しくて、突飛で、とても愛らしかった。

But you were beautiful, unusual, so loveable

あなたは美しくて、突飛で、とても愛らしかった


I wonder what it's like to die?

死ぬってどういうことなんだろう

Sometimes you cross my mind

あなたの存在が私の心を掠める

Well that's a fucking lie

ええ、ほんとに馬鹿げた話なんだけど、

'Cos you're on my mind all of the time

あなたはずっと私の心で生き続けているの

I wonder, what it's like to die?

なら、死ぬってどういうことなんだろう

 

 

 

 この曲を書いたヘザーによれば、彼女のおじいちゃんについての曲らしいです。

 とてもパーソナルな内容の歌ですが、一方で誰しもの心の琴線に響く素敵な曲でもあります。

 

こちらもぜひ

Pale Wavesというバンドについて - 音楽紀行(アルバムレビュー)

 

My Mind Makes Noises

 

Pale Wavesというバンドについて

「MY MIND MAKES NOISES」/ Pale Waves (★★★★)

  「Their songs are on my mind all of the time.」初めてこのバンドのライブを見て以来私の心には、ずっと彼女たちの曲が響いているようだ。そんな大好きなバンドがデビューアルバムを出した。

 このアルバムを聴けばPale Wavesがいかなる音楽性を有し、いかに輝きを放つ魅力的なバンドなのかが分かる。アルバムのレビューはそのままこのバンドについて語ることにもなるのだ。

 先日Summer Sonic 2018にて初来日し圧巻のライブを披露して以降、日本での人気もうなぎ上り。そんな大注目のバンドによる1stアルバムを全力で紹介したい。

Topic 1 アイコニックなビジュアルとポップなメロディ

 Pale Wavesは、Heather Baron-garacie(Vo/Gt),Ciara Doran(Dr),Hugo Silvani(Gt),Charlie Wood(Ba)の4人からなるバンドである。バンドの中核を担うのは、バンド結成の礎となったヘザーとシアラ。彼女らのゴスっぽい風貌も目を引くが、音楽性は反面明るくきらびやかなギターポップである。

Topic 2 デビュー前から注目されるニューカマー

 イギリスではよくあることなのか、アルバムを出す前からNME誌の表紙を飾り、BBCやMTVでも注目の新人として取り上げられるなど既に注目されている。その盛り上がりは日本にも伝わり、先立ってリリースされていた数曲のシングルに早くも多くの音楽ファンは魅了され、そして初来日すると前述の通り日本のリスナーを熱狂させた。

 そして、サマーソニックや翌日のインストアライブでも披露された楽曲を詰め込んだ待望の1stアルバムが満を持してリリースされたのである。

Point 1 徹頭徹尾ギターポップ


Pale Waves - Eighteen

 冒頭の「Eighteen」、サビのポップさが突き抜けている。メロディのみずみずしさ、万人に対する訴求力はテイラースウィフトやアリアナグランデにも引けを取らないのではないか。


Pale Waves - There's A Honey (Live) - Vevo @ The Great Escape 2018

 「There's A Honey」は彼女らのデビューシングルであり、既にライブにおける必殺チューンとなっている。なぜならば、バンドの魅力がメロディの良さのみにあらず、各楽器の響きにあるということを証明する強力な曲だからだ。ベースの小気味良いラインが楽曲を引っ張り、ドラム、特にスネアドラムのエコーがかった響きがきらびやかな楽曲に奥行きを生んでるように感じる。そしてリズミカルなギターのリフがドンッと入ってくる。素敵な演奏を身にまとい、突き抜けてポップなメロディが「誰もが口ずさめるような楽曲」へと昇華される。

 結論から先に言うと、今作には終始こうしたギターポップが並んでいる。「同一ジャンルの楽曲ばかりで変化が無い。」という感想に頷けないでもないが、そんな感想を力技でひっくり返すような、理屈じゃない勢いのようなものを、やはり感じずにはいられない。(思えば、同レーベルのThe 1975やWolf Aliceだって1stアルバムから楽曲に幅があったかといえばそうではなかったはずだ。だが、それでも多くのリスナーは魅力を感じ取っていた。)

Point 2 圧巻の4連発 

 「When Did I Lose It All」「She」は作中にて数少ない素朴なバラード。極力シンプルな進行でヘザーの歌声に焦点が集まる。「Eighteen」と同じ登場人物を描いたという「When Did I Lose It All」の歌詞も注目ポイントである。

 そして流れ込むエモーショナルなギターソロが堪らない。この2曲をライブで聴き、会場中が感傷に浸る場面を想像するとゾクゾクする。

 


Pale Waves - Television Romance

  The 1975のメンバーであるマシューヒーリーとジョージダニエルがプロデュースした「Television Romance」は(まさにそのThe 1975っぽさもあり笑)「こりゃ売れるわな!」と納得しちゃう完成度。今後の代表曲になるだろう。

 最初から最後までどこにも文句のつけようがない、無敵のロックソング「Red」が続く。(こちらは「Came in Close」と同じ人物についての曲らしい。)

 そして本作で一番のチューンには「Kiss」を推したい。ドラムから流れ込むギターにイントロから拳を思わず突き上げた。Aメロのスタイリッシュなベースは鼻血もの。サビでのギター+シンセサイザーの疾走感は心躍らずにはいられなかった。

 ギターの音色がアルバムの終盤にぴったりな「Black」も含めた4曲は、Pale Wavesの良さがこれでもかと溢れており、今作1番の聴きどころ。Pale Waves聴いてみたいけど、どの曲から聴こうか迷ってるという方には、とりあえず「Television Romance」~「Black」の4曲を続けて聴くようにオススメしたい。

Point 3 一線を画す出色の出来栄え

 ラストの曲「Karl(I Wonder It's Like To Die)」は、ここまでの楽曲と一線を画す。

 日本でのインストアライブで披露された楽曲だが(なんでも世界初披露!?)、その時と同様にアコースティックギターのみで演奏される楽曲。ただただメロディを聴かせるスタイル。ストレートに琴線を揺らす曲調を耳にすると、急に人の素顔を覗き見してしまったようで、ドキリとしてしまう。

 では歌詞は何を歌っているかというと、どうやらヘザーのおじいちゃんについてらしい(本人談)。彼女が14歳の頃に亡くした「あなた」(=おじいちゃん)、その経験や経過した時間を今の視点から見つめて、死とは何か?と思いを馳せた歌である。

 ふと彼女がインストアライブにて、この曲が1番のお気に入りだと言っていたことを思い出した。なるほど、この曲こそがヘザー自身を最もはっきりと表した曲なのだ。

「'Cause you're on my mind all of the time

I wonder, what it's like to die?」という最後の一説こそがこの曲のメッセージの根幹だろう。解釈は聴き手に委ねられるだろうが、私はこの一節を聴いて、ヘザーは希望を持った素敵な人物なんだなあと感じた。

(「ライブでは演奏しないかも。この曲をライブでやったら、会場の人たちが泣いちゃうから、自分も含めて。」なんてヘザーは言っていたが、ぜひとも今後バンドにとってもファンにとっても大事な曲として演奏してもらいたい。)

 

 とにかくPale Wavesがどんなバンドか、どれだけ魅力的かほんの一部でも伝わると嬉しい。「とにかくライブが見たい!」「次のアルバムはまたどうなっていくのだろう?」などとあれこれ考えさせる彼女たちの音楽は、しっかりと私の心にも根を下ろしていった。若い私にとって、デビューからその行く様を追えるバンドは貴重で、しかも彼女たちは無限の可能性に満ちた宝箱のようなバンドなのだ。こんなハッピーなことがあるだろうか。

 Pale Wavesという名前に、以後お見知りおきを。

 

「My Mind Makes Noises」/Pale Waves ★★★★

 

  1. Eighteen ★★★★
  2. There's a Honey ★★★★
  3. Noises ★★★☆
  4. Came in Close ★★☆
  5. Loveless Girl ★★
  6. Drive ★★☆
  7. When Did I Lose It ★★★☆
  8. She ★★★
  9. One More Time ★★★
  10. Television Romance ★★★★
  11. Red ★★★★☆
  12. Kiss ★★★★☆
  13. Black ★★★★
  14. Karl (I Wonder What It's Like to Die) ★★★★☆

※太字はイチオシの1曲

 

MY MIND MAKES NOISES

MY MIND MAKES NOISES

 

 

 

 

熟練

ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2018「BONES&YAMS」@KBSホール(18.07.19)

 友人に誘われてさくっと見に行きました、アジカン。アルバム曲やカップリング曲まで全て網羅してるほどのファンではないのですが、以前アリーナツアーで見たライブが素敵で、今回も行ってみようと思い、これが大正解。

 「荒野を歩け」は前に自分でもバンドでコピーしたことがあったのですが、もう段違いに演奏が良くて(当たり前だ)ライブが進むにつれ「アジカンってこんなにうまいバンドだったんだ…。」と圧倒されました。派手なフレーズとかでなく、どのパートも隙がない感覚は、海外のアーティストであってもなかなか感じられないもので(ライブハウス規模の会場だったおかげもあり)骨の髄までバンドの底力のようなものを鑑賞し尽くしました。

 個人的に聴いて感動したのは、「サイレン」無限グライダー」の2連続。特にサイレンはバンドの実力がこれでもかと発揮されて、どうなるか分からない緊張感ある曲の展開に引き込まれました、今回のライブのハイライトでした。

 オープニングアクトを務めたNick MoonとやったRadioheadのカバー「High&Dry」もびっくりしましたが、素敵な演奏でした。思わず口ずさんでしまった…笑

 ライブから今のバンドがすごく状態が良く活き活きとしているのが伝わってきました。いよいよ出るニューアルバムも期待せずにはいられないなあ、と感じました。

 

セットリスト

  1. Right Now
  2. エントランス
  3. 荒野を歩け
  4. 白に染めろ
  5. 極楽寺ハートブレイク
  6. ロードムービー
  7. サイレン
  8. 無限グライダー
  9. 永遠に
  10. ノーネーム
  11. 未だ見ぬ明日に
  12. 架空生物のブルース
  13. 生者のマーチ
  14. 夜を越えて
  15. サイエンスフィクション
  16. 融雪
  17. Re:Re:
  18. Standard / スタンダード
  19. ワールド ワールド ワールド
  20. 新しい世界
  21. High and Dry (with Nick Moon / Radiohead cover )
  22. 君の街まで
  23. ブラックアウト
  24. 今を生きて

 

ボーイズ&ガールズ(初回生産限定盤)(DVD付)

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群雄割拠UKロック界の新星

Goat Girl Japan Tour 2018 @CONPASS(18.06.27)

 今UKロック界隈が熱い。ロックは死んだと揶揄されヒップホップやエレクトロが隆盛の昨今だが、イギリスから注目のアーティストがどんどん登場しているのだ。今年だけでもShameやPale Wavesといった新進気鋭のバンド、あるいはソロアーティストではTom Mischが台頭したイギリスは今や群雄割拠。そんな中異色の存在として注目すべきはGoat Girl、その記念すべき初来日公演をレポートする。

Topic 1 異なるバックボーンを包含

 Goat Girlは女性4人組のバンドであるが、メンバーそれぞれがもつ音楽ルーツは異なっており、それが彼女らの楽曲の多様性を生んでいる。

 ボーカル・ギターであり作詞の多くを担っているLottieはフォークやジャジーな歌を好むが、クラブミュージックを好んだりジャズ音楽に明るいメンバーもいるようだ。

Point 1 よりロックへと昇華される

 SEに合わせ登場した彼女たちは、笑顔を浮かべながら挨拶をした後さっそくライブを始めた。アルバムの楽曲はラフではあるが部分部分で精巧さも感じさせるようなバランスだったが、ライブになるとより荒々しく勢いがある!強いメッセージが込められた「Burn The Stake」や「Viper Fish」など音源よりも「ノれる曲」と化していて、会場は徐々に熱を帯びていった。

Point 2 彼女らの生活

 「The Man」はもう彼女たち必殺のアンセムだった。冒頭のギターリフから終盤のメンバー同士の掛け合いまで盛り上がる要素まみれ。この曲はもっと大勢がいる会場、フェスでも聴いてみたいなあと感じた。

  メンバーそれぞれの演奏も素晴らしかった。ギターのL.E.D.やベースのNaimaはクールに演奏・コーラスをこなすのが絵になるし、ドラムのRosyは豪快に叩きつつグビグビ缶ビールを飲みながらのプレイは多くのファンを生んだに違いない笑(酒飲んでて間に合わないからシンバル手でたたいたり…)彼女たちのライブを見た人なら少なからず、「自分もこんな素敵なバンド組みたい…。」思ってしまうはずだ。

 Goat Girlの楽曲からは、ロンドンで普段彼女たちが見聞きしているものや匂い、それに対するいろんな感情というのが感じられる。これこそがとても魅力的で、ライブでもロンドンを歩いて回ったかのような感覚が心地よかった。

 今後ますますビッグになっていくことが期待できる、そんな彼女たちの初来日公演に来られて幸せだった。

 

(Setlist)

  1. (SE) Salty Sounds
  2. Burn The Stake
  3. Viper Fish
  4. Cracker Drool
  5. Slowly Reclines
  6. The Man With No Heart Or Brain
  7. Throw Me A Bone
  8. The Man
  9. Lay Down
  10. I Don't Care Part 1
  11. I Don't Care Part 2
  12. Scum
  13. Scream
  14. Crow Cries
  15. Mighty Despair
  16. Little Liar
  17. Tomorrow
  18. Countly Sleaze

 

Goat Girl [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック3曲収録 / 国内盤] (RTRADCDJP884)

Goat Girl [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック3曲収録 / 国内盤] (RTRADCDJP884)

 

 

2018年上半期アルバムベスト10

パッと並べましたが、これら以外にも傑作揃いの上半期だったと思います。下半期にも期待!他にもオススメとか教えていただきたいです。

High As Hope / Florence + The Machine

High As Hope

最高に魅了されたメロディでした、多分5年先でも愛着持って聴いてるはず

アダムとイブの林檎 / Various Artists

アダムとイヴの林檎

いろんな才能が化学反応を起こす、聴いてる側が終始楽しめる祭りのようなアルバム

Geography / Tom Misch

Geography [帯解説・歌詞対訳/ボーナストラック2曲収録/国内盤] (BRC564)

既に完成された、熟練の境地ですよね

ライブはしっかり単独で見たい

Call Me By Your Name(Original Motion Picture Soundtrack) / Various Artists

Call Me By Your Name (Original Motion Picture Soundtrack)

映画での青く儚い情景を形作る一因は音楽だったのだと確信できる、美しい楽曲群です

Goat Girl / Goat Girl

Goat Girl [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック3曲収録 / 国内盤] (RTRADCDJP884)

各メンバーがルーツを持った多ジャンルの要素を包含したロック、超新星です

Freedom's Goblin / Ty Segall & The Freedom Band

 

ロックの途が開かれたまさに自由を謳歌する音楽、ロックが好きでよかったとさえ思った

Tranquility Base Hotel & Casino / Arctic Monkeys 

Tranquility Base Hotel & Casin

アクモンだから過小評価も過大評価もされてるが、のんびり酒と一緒に嗜む小品的作品

Black Panther:The Album / Various Artists 

Black Panther: The Album

ヒップホップ、R&Bのかっこよさを僕に逐一教育してくれる、名曲の宝庫

Offerings / Typhoon

Offerings

世界での立ち位置は不明だが、Coldplay,Museらスタジアムバンド並みのスケール感!

Superorganism / Superorganism

Superorganism

新しい音楽を聴いてる感覚、これでデビュー作だから末恐ろしいですよね